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DPC病院の"計画配置"か ─ DPC評価分科会で厚労省案

■ 「2次医療圏人口は不適切な指標」―池上委員
 

[池上直己委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)]
池上直己委員0619.jpg 医療圏をどのようにとらえるか。(資料)「D-2-2」(2次医療圏別病院数)によると、DPC病院が最も多い大阪市の37、札幌市の34など、DPC対象病院が非常に多い医療圏がある。一方、(DPC病院が)「0~1」と「2」の2次医療圏が3分の1強を占めている。

 そういった状況下で、(資料)「D-7」の5ページ(医療計画の実施を評価する指標)で、分母が「全DPC対象患者」とある。つまり、医療圏ごとに考えるのは難しい。「0~1」や「2」の2次医療圏があるので、「全DPC対象患者」のような指標を設けることは適切でない。

 ▼ 医療計画の実施(地域医療への貢献)を評価する指標として厚労省は、これまで「全DPC対象患者」を分母にした指標(例えば、「がん入院患者数/全DPC対象患者」など)を示していたが、今回新たに、「当該医療機関の所属する2次医療圏の人口」を分母とする指標を提案している。

 それから、人口規模が小さい所、DPC対象病院が「0~1」や「2」の2次医療圏もあるので、これを指標とすることは問題ではないか。ここで提示された資料は単に人口が30万人(ママ)ということだけで分析しているが、内容を含めて分析すると、この指標(2次医療圏人口)は適切ではないと思う。

[西岡分科会長]
 「これは適切でないので、こういう指標を採らない方がいい」というご意見として頂ければいい。後ほど、「これは採用しない方がいい」という形でご提案いただければ......。

[池上委員]
 今の(コメント)は質問。事実確認として、DPC対象病院が「0~1」、「2」という所(2次医療圏)があるので、「それを含めて、このような数値(救急入院患者数の割合など)を出しているわけですね?」という質問。

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 (うなずきながら)そうです。

[池上委員]
 それに対する私の意見としては、「それは不適切な指標だ」ということ。

[保険局医療課・宇都宮啓企画官]
 質問の中で、ちょっと誤解があるのではないかと思われる。そちらにまず、お答えさせていただく。
 (資料)「D-7」の5ページ(医療計画の実施を評価する指標)について、池上委員から「全DPC対象患者を分母にするのは適切ではない」という意見があった。

 しかし今回の「2次医療圏」の発想は、5ページ(医療計画の実施を評価する指標)で、「2次医療圏人口」を分母にしたもの(指標)を出している。「全DPC対象患者」(を分母にした指標)は、この「2次医療圏人口」とは別の発想。そういう意味で、(両者は)別。

 ▼ 厚労省にとっては、これまで示していた「全DPC対象患者」よりも、「2次医療圏人口」を使った方が都合がいい。

 特に、これまでの議論の中で、「地域に対する貢献を評価すべき」とのご意見を(中医協)基本問題小委員会でも非常に強く頂き、事務局(保険局医療課)としていろいろと考えた。

 以前、松田(晋哉・産業医科大医学部公衆衛生学教授)先生から、「地域におけるシェア」という考えが出た。「シェア」というとき、分母を何にするかということで最初に考えたのは、同じ医療圏の中で、「DPC対象病院の患者数」を分母とすることも考えたが、そうすると池上委員がおっしゃったように、地域によってはDPC対象病院が1つしかないとか、1つもない(医療圏がある)。

 そうした場合に、DPC対象病院が1つしかないような地域であれば、シェアは100%になってしまうので、それこそ適切ではないと考え、今回は分母を「全DPC対象患者」ではなく、「2次医療圏人口」を分母にすることによって、ほかに医療機関があろうがなかろうが、「人口に対してどのぐらいの割合で貢献しているかを見ることができるのではないか」と考え、このような分析をした。

[池上委員]
 確かに、私の誤解に基づいているという点はご指摘の通りだが、「同じ医療圏から受診している患者である」という前提があればこそ、このように「2次医療圏人口」で割ることに意味がある。

 しかし、そうでない場合には、受診している患者の居住先は特に分析していないと思う。例えば、極端な例を挙げると、人口規模が小さい所にがんの専門病院があってDPC対象病院だとすると、他地域からの受診患者が含まれ、極めて高い値となる。

 そのような観点から、「果たしてこれ(2次医療圏人口)が適切かどうか」ということを新たな課題として提示したい。

 ▼ 後の議論で、受診患者の医療圏番号を「診療録情報(様式1)」に記入することを松田委員が提案。他の委員は笑顔で大きくうなずいた。

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