DPC病院の"計画配置"か ─ DPC評価分科会で厚労省案
■ 「医療過疎地の病院を評価する指標」─小山委員
[熊本一朗委員(鹿児島大医療情報管理学教授)]
意見を申し上げたい。「150万人以上」の2次医療圏では、他の病院もたくさんあるからシェア率がそんなに上がらないと考えればいい。「50万人未満」の小さな医療圏では、DPC病院の急性期医療がかなり大きな役割を果たしているという指標として見ればいい。
「150万人以上」のような大きな2次医療圏では、いろいろな問題がある。もちろん、小さな人口規模の医療圏でも、池上委員が指摘したように患者の居住先などいろいろな問題があると思うが、地域の救急の実態が「シェア」として出てきているので、理解できる指標だと考える。
[辻村信正委員(国立保健医療科学院次長)]
質問と感想を。資料「D-7」(医療計画の実施を評価する指標)のうち、「2次医療圏人口」で割る指標について。
DPC対象病院といっても、200床の病院と、国立がんセンターや大学病院などがあり、大学病院は2次医療圏を対象とした病院ではないのではないか。従って、「がんによる入院患者数」を「2次医療圏人口」で割ると、がんセンターや大学病院にとって過大な評価になるのではないか。
全部の(DPC対象)病院を、2次医療圏の人口で割るという考え方の指標と理解していいだろうか?
[宇都宮企画官]
資料「D-4」(新たな「機能評価係数」に関する基本的考え方」をご覧いただきたい。これは、以前(08年12月17日の中医協・基本問題小委員会で)、了解いただいた基本的考え方。
<新たな「機能評価係数」に関する基本的考え方>この中で、辻村委員がおっしゃったのは、3の「DPC対象病院として社会的に求められている機能・役割を重視するべきではないか」という全国区的な役割。
1 DPC対象病院は「急性期入院医療」を担う医療機関である。新たな「機能評価係数」を検討する際には、「急性期」を反映する係数を前提とするべきではないか。
2 DPC導入により医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等、患者の利点(医療全体の質の向上)が期待できる係数を検討するべきではないか。
3 DPC対象病院として社会的に求められている機能・役割を重視するべきではないか。
4 地域医療への貢献という視点も検討する必要性があるのではないか。
5 DPCデータを用いて係数という連続性のある数値を用いることができるという特徴を生かして、例えば一定の基準により段階的な評価を行うばかりではなく、連続的な評価の導入についても検討してはどうか。
その場合、診療内容に過度の変容を来たさぬ様、係数には上限値を設けるなど考慮が必要ではないか。
6 DPC対象病院であれば、すでに急性期としてふさわしい一定の基準を満たしていることから、プラスの係数を原則としてはどうか。
7 その他の機能評価係数として評価することが妥当なものがあれば検討してはどうか。
しかし、これとは別に、4番に「地域医療への貢献という視点も検討する必要性があるのではないか」とある。この4番の視点で、「例えば、こういう指標が考えられる」ということで示した。
2次医療圏で割ったデータをすべての医療機関に当てはめるとか、この係数のみにするということでは決してない。さまざまな評価軸があっていいのではないか。その中の1つとして、(2次医療圏人口という指標を)提示した。
[小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
企画官がおっしゃった通り。2次医療圏の資料で、人口別に50万(の2次医療圏)や100万(の2次医療圏)を見た場合、両方で評価できる指標というのは難しいと思う。
そういう意味でこれは、人口が少なくて、比較的医療過疎な所(にある病院)を評価しているという視点で考えれば、これは指標に十分なれる。
(西岡分科会長、大きくうなずく)
「150万人以上」(の2次医療圏)では、(DPC対象病院のシェアは)低いが、ここが評価される指標は違う項目があるので、今度はそっち(大病院)を評価すれば、小さいところ(病院)ができないことになるので、"すみ分け"をしていく中での指標という意味では、2次医療圏人口に対する(DPC対象病院の)評価を採用してもいいのではないかと考える。
[西岡分科会長]
ありがとうございます。
[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
私も賛成。(大病院用と中小病院用の)「複数の指標」があるのだから、さまざまな評価軸は病院によって決まるだろう。
[西岡分科会長]
ありがとうございます。
今、私から申し上げたかったことを全部、小山委員がおっしゃっていただいたので、非常にありがたい。そういったご理解で進めていただければと思う。よろしいだろうか?
▼ 反対意見なし。大筋了承と思われる。
(続いて、「新たな機能評価係数」の指標の絞り込みの議論へ。以下略)