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後発品が進まないのは在庫がないから?

■ 「後発品の使用状況調査」の変更点 ─ 厚労省の説明
 

[小野・保険医療企画調査室長]
 「後発医薬品の使用状況調査」について、前回と変わったところだけ説明する。

1. 薬局票について
 
 53ページから「薬局票」。「後発医薬品調剤率」について、「対前年度比」と「対前年同月比」を今回は取りたい。

 55ページ(取り扱い処方せん枚数)について。前回は特定の1週間の枚数だけではなく1か月の枚数も調査していたが、今回は調査の負担を考えて1週間だけにしたい。

 また、(「1品目でも後発医薬品を調剤した処方せん」の中で、「後発医薬品への変更がすべて不可」欄に処方医の署名等がない処方せん」のうち)「今回は先発医薬品を後発医薬品に変更しなかったが、以前に一度、先発医薬品から後発医薬品に変更し、これを受けて処方医が当該後発医薬品の銘柄処方に切り替えた処方せん」についても把握したい。

 56ページ(後発医薬品への対応状況)について。薬局で後発医薬品の説明・調剤にはあまり積極的には取り組んでいない理由を深く知りたいので、1~5は具体例の記載をお願いする。

4-(1)-1 後発医薬品の説明・調剤にはあまり積極的に取り組んでいない理由 ※ あてはまる番号すべてに○
 1. 後発医薬品の品質に疑問があるため
 2. 後発医薬品の効果に疑問があるため
 3. 後発医薬品の副作用に不安があるため
 4. 後発医薬品の安定供給体制が不備であるため
 5. 後発医薬品の情報提供が不備であるため
 6. 後発医薬品に関する患者への普及啓発が不足なため
 7. 近隣の医療機関が後発医薬品の使用に消極的なため
 8. 後発医薬品の説明に時間がかかるため
 9. 後発医薬品の調剤による薬剤料減に不安があるため
10. 後発医薬品の備蓄増に伴う不良在庫の拡大など、在庫管理の負担が大きいため
11. 調剤室での薬の取り揃えの前に後発医薬品を説明する業務手順となっていないため
12. その他(具体的に                                    )
 また、今回は8~11を増やした。

 57ページ(後発医薬品について説明しなかった理由)。なぜ、説明しなかったのかを尋ねている。

上記(3)で、後発医薬品についての説明をしなかった理由としては、次のうちのどれですか。  ※あてはまる番号すべてに○
 1. 待っている患者が多く、説明する時間的余裕がなかったから
 2. 患者が急いでおり、説明不要と言われたから
 3. 患者が後発医薬品について十分理解していたから
 4. 調剤室での薬の取り揃えの前に後発医薬品について説明する業務手順になっていないから
 5. システム上、薬剤料の差額がすぐに計算できないので、患者の質問にその場で答えることができないから
 6. 説明しなければならないという認識が不足していたから
 7. その他(具体的に                                           )
 次の(5)と(6)では、説明に関するプロセスの詳細について尋ねる質問を増やした。
(5) 後発医薬品への変更が可能な処方せん※2を持参した患者のうち、後発医薬品について簡潔な説明だけを行った患者(後発医薬品に関する説明を記載した文書を患者に手渡し、希望の有無等を確認した場合を含む。)は、平成21年4月以降、現在までにどの程度いましたか。 ※○は1つだけ

(6) 後発医薬品への変更が可能な処方せん※2を持参した患者のうち、後発医薬品への変更をすすめた患者は、平成21年4月以降、現在までにどの程度いましたか。 ※○は1つだけ

 56ページ(処方せん受付時の対応)について質問を増やした。(17)は選択肢を増やした。
(17) 後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けたが、変更しなかった場合について、今後、どのような対応が進めば、薬局の立場として後発医薬品への変更を進めてもよいと思いますか。 ※あてはまる番号すべてに○

 1. 医師や薬剤師に対する後発医薬品の品質保証が十分であることの周知徹底
 2. 後発医薬品メーカーによる情報提供や安定供給体制の確保
 3. 後発医薬品に対する患者の理解
 4. 剤形・規格の違いに関わらずに銘柄変更調剤ができる環境の整備
 5. 後発医薬品に関する説明の手間や後発医薬品の調剤による薬剤料の減などを考慮した調剤報酬上の一層の評価
 6. 調剤室での薬の取り揃えの前に患者に後発医薬品について説明する等、薬局における調剤手順の見直し
 7. 特に対応は必要ない
 8. その他(具体的に                                    )

 60ページ(ジェネリック医薬品希望カード)について。

 これは、「全国健康保険協会」(協会けんぽ)さんに協力を頂き、サンプルとして、「ジェネリック医薬品希望カード」を載せた。

ジェネリック医薬品希望カード.jpg この例を見て、こういうカードを知っているか、提示されたことがあるかなど、カードについての質問を(薬局に)している。

 以上が、薬局票の変更点。

2. 病院票について
 
 63ページから「病院票」。(貴施設の状況の設問で)オーダリングシステムに関する質問(後発医薬品名が表示されるオーダリングシステムを導入しているか)を追加した。

 64ページでは、⑯と⑱の質問を追加した。

⑯ 後発医薬品の供給体制は、1年前と比較して、どう思いますか。 ※ あてはまる番号に1つだけ○

⑱ 貴施設では、患者が後発医薬品を頼みやすくなるような工夫をされていますか。 ※ あてはまる番号すべてに○

 65ページでは、入院患者に対する後発医薬品の使用状況について、「後発医薬品のあるものの一部を使用」、「後発医薬品をほとんど使用していない」と回答した理由を追加した。
 1. 処方銘柄について患者からの強い要望
 2. 処方銘柄に対応する後発医薬品の副作用が心配
 3. 処方銘柄に対応する後発医薬品の効能に疑問
 4. 後発医薬品の供給体制に不安
 5. 処方銘柄の作用が強く治療域がせまい
 6. 患者に適した剤形が他にない
 7. 処方銘柄を長く使用し信頼
 8. 病院として使用する医薬品の銘柄を指定している
 9. 後発医薬品の使用による薬剤料減への不安
 10. その他(具体的に                               )
 66ページでは、「今後どのような対応が進めば、病院として、入院患者への投薬・注射及び外来患者への院内投薬における後発医薬品の使用を進めてもよいと思いますか」という質問を増やした。

3. 医師票について
 70ページで、「ジェネリック医薬品希望カード」について、「知っているか」、「提示されたことがあるか」という質問をしている。

 71ページでは、「今後、どのような対応がなされれば、医師の立場として後発医薬品の処方を進めても良いと思いますか」という質問の回答に、「院内で後発医薬品の情報を独自に収集し、後発医薬品の選定・採用を行える体制の整備」を追加した。

 1. 医師や薬剤師に対する後発医薬品の品質保証が十分であることの周知徹底
 2. 後発医薬品メーカーによる情報提供や安定供給体制の確保
 3. 後発医薬品に対する患者の理解
 4. 後発医薬品を処方する際の診療報酬上の評価
 5. 院内で後発医薬品の情報を独自に収集し、後発医薬品の選定・採用を行える体制の整備
 6. 特に対応は必要ない
 7. その他(具体的に                                )
4. 診療所票について
 
 72ページからの「診療所票」は、「病院票」と「医師票」の追加事項を追加したので、説明を省略する。

5. 患者票について

 80ページで、どのような保険に入っているか(健康保険証の種類)という質問を追加した。

 81ページでは、③④⑤の質問を追加した。

 ③ 平成21年4月以降に医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品の処方や調剤」をお願いしたことが ありますか。 ※○は1つだけ

 ④ 医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品の処方や調剤」は頼みやすかったですか。 ※○は1つだけ

 ⑤ どうすれば、より、「ジェネリック医薬品の処方や調剤」を頼みやすくなると思いますか。 ※以下1~9のうち、あてはまる番号すべてに○

 82、83ページでは、「ジェネリック医薬品希望カード」について質問している。

 最後、84ページ。「ジェネリック医薬品を使用するにあたって必要なことは何ですか」という質問は前回もあったが、「1回にあなたが支払う金額がいくらぐらい安くなるのであれば、ジェネリック医薬品を使用したいと思いますか」という質問を追加した。説明は以上。

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