救急医療と時間外診療は似て非なるもの
■ 「平日の診療時間にどれだけ高度な機能を提供できるか」 ─ 相川委員
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
先日(7月6日)、議論していただいた「新たな機能評価係数に係る特別調査」の調査票について。
前回の議論を(7月15日の中医協)基本問題小委員会に報告した。その中で、基本問題小委員会から追加の要望があった。
(中略。中医協委員の要望で、救急のトリアージと補助金の質問を追加したことを説明)
【問6】ちょっと、この辺りの説明をお願いしたい。
救急車以外で来院した患者について、救急外来におけるトリアージ体制についてお聞きします。
患者の病状により優先的に医師の診察を受けるべき患者を判断する機能がありますか。ある場合は、救急医療を提供している日について、その業務に従事している職員数を職種別にお答えください。【問7】
平成20年度1年間に交付された、救急医療に係る補助金の交付金額についてお答えください。交付されていない補助金については、「0円」を入力してください。なお、国公立病院の一般会計繰り入れの額については、除外して計算してください。
[保険局医療課・佐々木健課長補佐]
7月6日の(同分科会での)ご意見を踏まえ、事務局(保険局医療課)が作成した案を7月15日の中医協で報告した。その中で、(調査票)7ページの項目について、追加の依頼があったので、これについて各病院のご協力を頂いて調査する。
調査対象期間は、来週の7月27日(月)から8月2日(日)までの1週間で、既に各医療機関に連絡したという状況。
▼ 調査票は各医療機関に発送済みとのこと。
[西岡分科会長]
ありがとうございます。そういった経緯。いろいろなご意見を基本問題小委員会で頂いたが、その中でこの2項目について、基本問題小委員会の遠藤委員長のご意見も入れて、この2つを(質問項目に)入れたという経緯でございます。
[相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)]
そうすると調査が来週の月曜日から始まると理解するが、この調査票の細かい所について、この分科会が議論する権限があるかどうかは分からないが、今日、これを見せていただいて......、これ、既に出ちゃってる......んですか?
(保険局医療課の宇都宮啓企画官、うなずく。委員から笑い声)
ま、出てるものについて言うのも何だが、非常に残念なのは、救急医療体制に対する考え方。時間外診療と救急医療との違いが、まだはっきり理解されていないところがあると思う。
日本では、「救急というのは時間外診療だ」という考えがいろいろな所であるが......。調査票の「問3」(救急医療を提供している日について救急医療の従事者数をお答えください)について。
ここでは、「平日準夜」「平日深夜」「休日日中」について聞いている。しかしながら、(救急医療は)今、かなり進歩してきた。特に、(新たな)機能評価係数で評価されるべき救急の中には、平日の診療時間にどれだけ高度な機能を提供できるかという所が評価されるべき。
多くの救急患者、特に事故は日中に起こる。(地下鉄)サリン事件の時もそうだし、交通事故もそう。これらは平日の日中に起きる。そのような患者さんが救急として運ばれてきた時、救急の専従医がいるのか、看護師がいるのか、これによって救急の機能は随分違う。
この「問3」に関しては、「時間外診療」という観点で書かれている所は了解できる。「問4」もそうだが。
【問4】救急の機能(の評価)、特に、2次救急で平日にやっている病院が、この調査では出てこないのは、いかが......、どうすればよいだろうか?
各診療科の「あり」「なし」と、「あり」の場合には、救急医療を提供している日について、休日・時間外における救急医療の提供体制についてお答えください。
(しばらく沈黙が続く。事務局、相談中)
[西岡分科会長]
相川先生のお考えでは、救急と時間外診療とを分けて......。
[相川委員]
いや、分けてではなくて、救急と時間外診療は似て非なるものですよ! (語気を強める)
[西岡分科会長]
(小声で)そうですね......、はい......。
[相川委員]
昔は、救急というのは時間外診療。夜、休日をいうと考えられていた。ところが、今回の調査は病院の機能を評価するという観点。実際には、時間外でない、夜間でない、先ほど言ったが、例えば月曜日の午前10時。
例えば、サリン事件の場合は月曜日の8時半ごろから患者さんが運び込まれた、100何人と。その時に、救急の専任医でない医師がほかの診療を止めて対応するのか、それとも救急の専従医や看護師が対応するのか。これによって、病院の機能が全く違うし、アウトカム(結果)も全く違うと思う。
実際、最近は平日の救急が随分増えている。夜間よりも。ですから、そこが評価されるべきであると私は考えている。
(小山委員、挙手)
[西岡分科会長]
はい、どうぞ、小山委員。
【目次】
P2 → 「平日の診療時間にどれだけ高度な機能を提供できるか」 ─ 相川委員
P3 → 「24時間対応体制の調査という認識だった」 ─ 厚労省