ワクチン量の上方修正「1mlバイアルを10mlに変更が要因の一つ」-足立信也政務官
厚生労働省の足立信也政務官は29日、新型インフルエンザワクチンの生産量が従来の約1800万人分から2700万人分に上方修正されたことについて、「1mlバイアルを10mlバイアルに変更することで無駄をなくせる」と事務方が考えているとの見方を示した。(熊田梨恵)
「10mlバイアルなら19人分は確実に取れると(官僚側は)考えているのではないか」と話した。他の要因として、ワクチン生産が「うまく生産できなかった場合のエラーなども考えて8掛け(の生産量)で最初は出していた」ことも考えられるとした。
厚労省はこれまで、年度内に国内で生産できるワクチンは約1800万本と推計しており、必要とされる約5400万人分には満たないとして、海外企業との輸入交渉を行ってきた。ただ、この数値は1mLバイアルを使ってワクチンを2回接種する場合。ワクチンは0.5mlを接種するため、10mlバイアルを製造すればより多くの接種が可能になる。田代眞人国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は、効率的に接種できるよう10mlバイアルでの接種を求めていた。一方で、東北大大学院医学系研究科感染制御・検査診断学の森兼啓太講師は、10mlバイアルを使うと1本の瓶に20回穿刺することになり、微生物による汚染の機会が増すとしてリスクを主張している。
ワクチン生産量が上方修正されたことについて、担当者から政務三役に対しては、「結果だけさらっと」説明されたとして、十分な説明はなかったという。足立政務官は、生産量が増えた理由について、「受け取り方は人によって違うと思う」との見方を示した。