「医師への教育的観点から問題ある」 ─ DPCヒアリングまとめ
[ 医療機関からの主な意見 ] ─ 厚労省
1. 再転棟の割合が多い病院
① 回復期リハビリテーション病棟や認知症病棟を併設しており、高齢者等の人院期間が長い患者が多く、入院中に肺炎や転倒による骨折等で、一般病床に転棟することがあった。
② リハビリを目的とする患者については、直接回復期リハビリテーション病棟に入院する症例がほとんどで、肺炎等があった場合にのみ、一般病床に転棟している。
③ 本来は一般病棟へ入院するべき患者であっても、病棟が満床で回復期リハビリテーション病棟に入院せざるを得ない場合がある。
④ 軽症であれば、そのままそれぞれの病棟で治療を行うが、人工呼吸器や中心静脈注射を行うなど、濃密な医療を提供しなければならない場合は、DPC病棟に転棟することがある。
2. 特定の診断群分類において、診療内容が他の医療機関と比べ大きく異なる病院
(ⅰ) 診断群分類「130100」播種性血管内凝固症候群(DIC)の出現割合が他の病院と比較して非常に多い病院
① 高齢者の患者が多いため、DICの患者も多かった。
② 総合周産期母子医療センター等を併設しており、重症患者が多いため、DICの症例の割合も多かった。
③ 改めて症例検討を行った結果、コーディングが適切でないと考えられる症例があった。
④ 毎月コーディング委員会を開催し検討を行っているが、DICについて問題点が指摘されたことはなかった。
(ⅱ) 診断群分類「180010」敗血症の出現割合が他の病院と比較して非常に多い病院
① 必ずしも感染を特定出来なくても全身状態が悪い場合に、.臨床的に敗血症と診断していた症例があった。
② 改めて症例検討を行った結果、コーディングが適切でないと考えられる症例があつた。
③ 重症患者や合併症のある患者について、他院からの転院を多く受け入れているため、敗血症の症例も多くなった。
3. 後発品医薬品等の薬剤の使用状況が、他の医療機関と比べ大きく異なる病院
(ⅰ) 使用割合が全国平均と比較して非常に多い病院
① 患者の経済的な負担を軽減したいと考え、病院として後発医薬品の使用を進めている。
② 製薬会社の担当者からの薬剤情報の提供の際には、必ず事務の関係者が入ることにしており、各医師との直接的な関わりを極力排除している。
③ 国の直接の機関であり、病院として国が推奨する目標値を達成するために努力している一方で、予算上の制約により、後発医薬品の使用を進めざるを得なかったという側面もあった。
④ 安定供給、安全性の確認、情報提供の迅速性、他の大学病院への納入実績等も考慮しながら、採用する薬剤を選んでいる。
(ⅱ) 使用割合が全国平均と比較して非常に少ない病院
① 安全性が確立されていないため、全てのところに統一的・積極的には導入していない。
② 安全性にかかる情報が十分ではなく、後発医薬品の安全性が信頼できない。
③ 個人的に、後発医薬品使用により副作用が増えた経験があり、使用に消極的である。
④ 後発医薬品を導入しなければならない理由がわからない。
⑤ 後発医薬品の採用については、各診療科の裁量に任せている。
⑥ DPC対象病院となって(本年)から、周囲の医療機関での採用状況を確認しつつ、安全性や供給確保なども考慮しながら、後発医薬品の採用割合を増やしている。
4. DPC導入前と導入後で、診療内容が大きく変化した病院
① DPC導入後に後発医薬品の採用や、外来で実施可能な検査や画像診断を外来で行う等の効率化を進めた。
② 研修医に医学的に必要のなぃセット検査を安易に行わないよう指導していることも影響している可能性がある。
③ 抗生物質の選択を適切に行うため、細菌検査室の充実を図ったことが、結果として抗生物質の使用量の減少につながり、医療の効率化に結びついている。
④ 調整係数が比較的高いため、計算上は現出来高実績点数が現支払点数に比べて非常に小さくなっている。
5. 平成20年度調査のデータ提出期限を守れなかった病院
① 医事会計システムとコーディングシステムが連動できておらず、手入力で作業しており、8人で対応しているが、締め切りに間に合わなかった。
② 担当者に任せきりになっており、病院としての管理が不十分であった。
③ 平成20年度診療報酬改定で様式1の作成方法の変更等があり、システムの切り替えを行ったが、データの移行やエラ‐データヘの対応に時間がかかった。
④ データ作成について、担当者が1人で対応していたが、対応しきれなかった。今年度からは担当者を4人に増員し対応している。
6. カルバペネム系または第4世代セフェム系の抗生物質を投与した患者の割合が非常に多かった病院
① 前立腺生検の際に、合併症として感染症が生じないようにするために使用した。
② 病院としてあまり意識していなかった。今回の指摘を受けて、自院と他の病院で、このような差があることを初めて認識した。
③ 患者に高齢者が多く重症な肺炎も多いために、こうした抗生物質を使用する患者割合が多かった。
④ 特定の診療科においてく過去に手術に伴つた感染症が生じた経験があり、クリニカルパスにおいて、手術時に第4世代セフェム系の抗生物質を投与することとしてしまっていた。
⑤ 多剤耐性縁膿菌の感染が院内で認められたこともあり、本年より、抗生物質の使用方法について見直しを行っている。
【目次】
P2 → [ 医療機関からの主な意見 ] ─ 厚労省
P3 → [ ヒアリングでの主な指摘事項等 ] ─ 厚労省
P4 → 「医学教育という面がかなり重要な役割」 ─ 西岡分科会長
P5 → ヒアリングのまとめ ─ 厚労省