11月27日の中医協 (ブリーフィング)
■ 基本問題小委員会④ ─ 明細書等
[保険局医療課・尾崎守正課長補佐]
明細書については、現状どれぐらいの医療機関で発行されているか、(明細書発行に関連するレセプトオンライン請求義務化の見直し)等々について(佐藤)課長からご説明いただいた後、(支払側の)勝村(久司)委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)から資料が2枚出されました。
▼ 勝村委員が提出した資料は、08年1月25日の中医協(公聴会)での薬害肝炎患者の意見と、同年2月1日付で舛添要一厚労相(当時)に提出した要望書の写し。明細書をめぐる問題について、詳しくはこちらを参照。
(勝村委員の要望は)要するに、「全員に無償で明細書を発行してほしい」ということ。その後、議論に入ったものと承知しております。安達(秀樹)委員(京都府医師会副会長)から(議論の)口火を切られたと思います。
○ 論点(安達)先生は「明細書を出したくない」というわけではなく、「出す」と言っているんだけれども、いくつか気になる点があるということです。1つは、(勝村委員が主張する医療)安全対策という観点に対しては、「レセプトが全部保険者に行くのでそこで内容が分かるだろうから、その段階で十分に担保できるんじゃないんですか」というご指摘がありました。
1 明細書の発行について
(1) 保険医療機関に対する明細書発行義務化の拡大についてどう考えるか。
(2) 保険薬局の明細書発行についてどう考えるか。
(3) 明細書発行の患者への周知方法についてどう考えるか。
2 診療報酬上の措置について
明細書の発行を推進するためには、医療機関のIT化が重要な役割を果たすものと考えられる。
現在、IT化推進のための診療報酬上の点数としては「電子化加算」があるが、これはレセプト電子請求の期限を迎えていない保険医療機関がレセコンを導入しているなどの要件を満たした場合の点数であり、明細書発行が義務化されている保険医療機関は対象外である。
明細書発行やIT化を推進するための、診療報酬上の評価についてどう考えるか。
また、レセプト並みに細かな明細書を出すとすると非常に手間暇がかかりますので、患者さんを待たせることにもなりかねない。その点も考慮する必要があるんじゃないかと(いう意見)。全員が(明細書を)欲しいというわけではないんでしょうから、必要な人にだけ出すということでよろしいんじゃないかというのが、おおむね安達先生のご意見だったのではないかと思います。あと、レセプトの開示(請求)もできるので、そういう方法もあるんじゃないかというお話だったと思います。
それに対して、1号(支払)側の勝村さんからは、レセプトだとどうしても数か月のタイムラグができますので、「その時その時に自分がどういう治療を受けていくらお金を払ったかというのがすぐに分かるようにすることが大事ではないか」というご指摘がございました。(安い)単価を見せることによって、患者さんも今の医療機関の報酬がどの程度になっているかを理解されて、全体として良い方向に進んでいくんじゃないかというお話もあった。
2号(診療)側はどちらかと言うと、「必要な人に出してあげればいいんじゃないですか」というようなご発想だったと思いますが、(支払側の)白川さん(健保連常務理事)としてはそうではなくて、患者として知る権利があるので原則として出すということにした上で、不要だという方について「いりません」ということを申し出る。2号側が言う原則と例外をひっくり返したような形で対応していくのが患者の立場からよろしいのではないかという話がございました。
いずれにしても、「義務化するかしないか」という話と、「有料なのか無料なのか」というところで大分意見が分かれていますので、その点について引き続き議論を進めていく。
両側とも、「患者に対してちゃんと情報提供していく」という点では一致していたと思いますが、その手法として「義務」なのか、「欲しいという人に対して出す」という形態なのか。あと、有償なのか無償なのか、この点についてまだ意見の隔たりが小さくなかったのかなというふうに思っています。説明は以上です。
(この記事へのコメントはこちら)
【目次】
P1 → 総会 ─ 医療機器の保険適用等
P2 → 基本問題小委員会① ─ 特定機能病院
P3 → 基本問題小委員会② ─ 病院勤務医の負担軽減策(論点1)
P4 → 基本問題小委員会③ ─ 病院勤務医の負担軽減策(論点2・3)
P5 → 基本問題小委員会④ ─ 明細書等