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子宮頸がんワクチンの定期接種化と保険収載求める 市民のためのがん治療の会

 『市民のためのがん治療の会』は3日、先ごろ承認された子宮頸がんワクチンの学校での定期接種と保険収載を求める要望書を、鳩山一郎総理と長妻昭厚生労働大臣に送付した。(川口恭)

 要望書は以下の通り。

内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 殿                平成21年12月3日 市民のためのがん治療の会代表 會田 昭一郎 独立行政法人国立病院機構  北海道がんセンター院長 西尾 正道 (市民のためのがん治療の会代表協力医) 市民のためのがん治療の会 北海道支部長 木村 勝夫

子宮頚がんワクチンの10-14歳女児に対する定期接種に関する要望書

日頃から国民生活の保障及び向上、公衆衛生の向上及び増進のために御尽力頂き、心から感謝申し上げます。
扨、子宮頚がんは、かなり深刻な問題であることを最初に知っていただきたいと思います。
子宮頸がんは世界中の45歳以下の女性の死亡原因としては2番目で、世界中で年間27万人以上の女性が子宮頸がんで亡くなっています。日本では年間約一万6000人が子宮頸がんに罹患し、約3500人が亡くなっていると言われています。特に問題なのは、子宮頚がんの若年化、つまり若年の罹患者が増加していることです。原因はヒト・パピローマ・ウイルス(以後HPV)と呼ばれるウイルス。そこでHPVワクチンが開発され、全世界111カ国で使用が始まっています。
がんは多くの医療関係者等の努力により治癒率も5割を超えたと言われますが、なお罹患者の半数近くが死亡するという恐ろしい疾病です。
その中、多くのがんの中で予防可能な方法として子宮頚がんワクチンが開発されました。効果が科学的に証明されているものについてはまずは積極的に取り組むべきです。上述の通り世界各国で接種が進められており、やがて多くの国では子宮頚がんは過去の疾病となるでしょう。当会といたしましても日本でもようやく10月16日ワクチンが正式承認されたのを機に、一日も早い効果的な接種として公費(無料)で学校で校医が接種する方向での子宮頚がんの予防を求めるものです。このための当該ワクチンの保険収載を強く要望します。

◎主な主張・説明等
①若年女性の罹患を予防し、妊娠出産という人としての大きな喜びを失うことのないようにし、女性の生命を失うリスク、治療に伴う苦痛を無くす。
②妊娠出産の可能性を失う悲劇を防止し、少子化対策としても有効である。
③子宮頚がんに投入される医療資源、特に人的資源が他の疾病に振り向けられる。
④毎年11-14歳女児に接種すると800億円必要だが、仮に年間1万6000人罹患し、半数が円錐切除、半数が全摘するとすれば、約140億円前後の医療費がかかる。
⑤学校での定期接種ならば費用ももっと少なくて済む可能性も高い。
⑥集団接種による費用の逓減と、年間3500人の死亡者の医療費を勘案すると、当該事業のコスト・パフォーマンスは良いとみるべきである。
⑦自費で接種するのでは接種率は非常に少ないと予想されるので、学校での集団接種がよい。

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