厚労省への不満渦巻く PMDA職員アンケート公開
厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第21回会合が8日に開かれ、前回、詳細を公開するか否かで揉めたPMDA全職員アンケートの結果が公開された。専門的能力に欠ける厚生労働省からの天下り・出向職員が組織幹部を占めること、行政の判断が優先されて科学的判断が捻じ曲げられることなどへの不満が赤裸々につづられていた。(川口恭)
PMDA職員のアンケートには344人が回答。自由記述欄にビッシリと書き込まれたものも多く、86人分の厚生労働省職員アンケートと併せ「全部読むと4時間かかる」(前回会議での水口真寿美委員の発言)凄まじいものになっていた。
まだ簡単にしか眺めていないが、印象に残った意見を1つだけ紹介する。
「(略)やりがいに疑問を感じる理由は、(略)審査が最初に結論が決められていて、止められないことである。そして20代の人たちが、方針に後付けで理屈をつけるトレーニングばかりを受けるから、医学の真理に誠実に対処することよりも、組織や方針に誠実に対処することを身につけ、本当に大切なものを再確認する作業を削がれていくことである。機構に来て、官僚がニュースなどいろんな場面で述べる答弁が、どのように形成されてきたかがよく理解できた。優秀な人材が、若い時からからトップダウンの方針に理屈をつけるトレーニングをされ、それに適合したものだけが生き残る仕組みが作られてきたのである。この仕組み・体質が残る限り、薬害は決してなくなることはない(略)」(283番)
このように指摘される問題がPMDAに存在するならば、その悪影響は計り知れない。ちょうどこの日の午前中に行われた未承認薬・適応外薬検討会(後日ご報告する)でも、PMDAの審査能力についての懸念が何度も委員から述べられており、それに対して厚生労働省が「増員するから影響はないはず」と答えていた。増員した審査員に誰がどのように教育するのだろうか。
なおアンケートに関与した委員たちからは何度も繰り返し「一部だけをつまみ食いすることのないように。全部読んでほしい」との発言があり、私もざっと眺めて同じ感想を持ったので、報告書の全文をご紹介する。(アップされたらリンクする、と書いていたが、待っていても結構時間がかかりそうなので)。簡略版は水口委員が要約したこちらをご覧いただきたい。「3度読んだ」という堀明子委員が「非常にニュートラルにまとめていただいている」と評したものだ。