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薬害防止 何はおいても組織論?

薬害肝炎の検証と薬害再発防止のための提言とを行うことになっている薬害肝炎検討会が2年目に入った。検討の主題は、1年目に決着のつかなかった行政組織のあり方へと移ったが、不思議なことに「薬害を起こさないために何が必要か」ではなく、「薬害が起きた時に誰が責任を取るのか」が主に議論されている。(川口恭)

 この検討会は、『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』。薬害肝炎訴訟の和解を受けて設置されたものだ。昨年度12回開かれ、第一次提言をまとめている。5月27日から2年目の議論が始まった。

 この日、事務局からは行政組織のあり方に関する議論のたたき台として以下の整理が示された。委員の多くが違和感を口にした。しかし昨年の経過を見ると7月終わりには、ここでお墨付きをもらったという形にして、組織に関する予算要求が行われると予想される。あと2回できちんとした形になるのか税金の使い道という意味でも注目されるので、しばらく集中して追っていきたい。

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この日の検討会で、関連して行われたやりとりは以下の通り。

〔花井十伍・医療と人権理事〕
23ページの資料、恣意的とは言わないが、大臣の責任とか独立性・専門性とか、○とか△とか◎と示してあるのは、どこがどうであれば高いのか低いのか分からない。中身も書いてもらいたい。内閣府に置いたら分断されるといったって、今だって課や局ごとに分断されているではないか。程度の差だろう。表の段階で既に価値判断が入っている。中身だけにしてほしい。

〔森嶌昭夫・日本気候政策センター理事長=座長代理〕
現在も行政のスリム化は始まっている。果たして公務員型でできるのかといったら、現在の政府全体のあれからするとダメ。外局も無理だろう。現在の状況で来年までにまとめるとするならPMDAの今の人員を増やしながらやっていくしかない。その場合に表の独立性とかが曖昧というのもそうだが、それ以上に非公務員型にした時に非公務員が公権力を行使できるか。今までの考え方なら簡単にはできない。非公務員が公権力を行使できるか早くから議論しておく必要がある。

大臣が辞めたからといって責任を取ったことにはならない。薬害は未然防止が一番だが出てこないとは限らない。その時に一方で独立行政法人や企業に賠償を認めさせれば、それで足りるか。国の賠償責任はどうなるのか。特別法でやるのか。独立行政法人に出して、国そのものが賠償するには、つなぐ理屈が要る。

お金だけじゃなくて、市販後のアフターケアの問題もある。国の体制の一環として仕組みを医薬品について考えるべきじゃないか。そういうものも含めて今までの行政法と違う仕組みを検討しなきゃならんのかどうか。やる必要があるなら、そういうものの検討会も開く必要があるだろう」

〔寺野彰・独協医科大学学長=座長〕
◎○△の中身を具体的にする、これはお願いする。組織のあり方というのは、いわゆるA案B案の、厚労省のあり方。

〔坂田和江・薬害肝炎全国原告団〕
厚労省分割の議論がされている時に、こんな議論が必要なのか。行政のあり方ではなくて、監視機関について議論すべきじゃないのか。

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