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「病院は植民地じゃない」・・・幕内・広尾日赤院長吼える

0309gancenter.JPG 国立がんセンター中央病院院長主催講演会『新しい病院作りに向けて』が9日開かれ、立場ある医療者たちから爆弾発言が連続で飛び出した。特に、新病棟への移行が済んだばかりの日本赤十字社医療センター・幕内雅敏院長(肝胆膵外科医としても高名)の「告発」はビックリすること請け合いだ。(川口恭)

 この勉強会のプログラムは以下の通り。

●「がんセンター麻酔科再建」 帝京大学麻酔科准教授 大嶽浩司 先生

●「新規診療科の立ち上げ」
帝京大学腫瘍内科講師 堀明子 先生

●「新病院の歩み」
日本赤十字社医療センター院長 幕内雅敏 先生

● 総合討論

 全員の講演が三者三様に面白かったのだが、特にビックリした幕内院長の発言と討論を中心にお伝えする。

 幕内
「私は大学にいる時、手術があったので教授会には出なかった。そうすると悪口を言われる。教授会には出ない代わりに経営指標は全部見てた。ところが日赤はそういう指標が一切出てこない。まず、そこに驚いた。がんセンターは国が面倒みてくれるんだろうが、我々は独立採算で、さらにタチが悪いことに上納金を本社に取られる。2億3千万円くらい純益から持っていかれる。税金ならば利益が出なければ取られない。税金の方がよほどいい。

 今日は新病院の話をすることになってるんだが、私が行った時には、もう話が全部決まってて地面を掘っくり返してた。で、私が院長になる時に最初に言われたのが借金95億円の連帯保証人になれということ。事務長が来て、僕にそう言う。僕は95億持ってたらこんなとこにいないよ、と。プールつきの家、ハリウッドとかああいうところの感じで楽しくやってるよ、と。借りている相手は医療福祉機構で年利1.8%。借り換えも繰り上げ返済もできない。そういうがんじがらめの状態でビックリした。5月になったら、みずほから短期の借り入れを7億円したいと言ってきた。僕が引き継いだときには12億円弱の現金があった。僕は事務員を呼んでさんざん話をしたんだけれどラチが空かない。どうしても、みずほから借りたいと言う。だいたい家計で考えてみても、120万円の現金を持っていて70万円銀行から借りるなんて、そんなバカがどこにある。そういうことをやっている。

 日赤も、いい意味では日本株式会社の一つ。悪く言えば社会保険庁とか郵便局が建てた建物を安く売っちゃったみたいなこと。建てる経過で困ったことがいっぱいあって、ここ(病院敷地内に建設したマンション)のところは、みずほ信託が全部引き受けてデベロッパーにやった。日赤には本社が芝に豪華な建物である。40年近く前に今壊している病院が建った時も黒い噂が出た。中には分かる人が全然いないから業者の言うがままに大分詐欺にもあってるんじゃないか。特に広尾ガーデンヒルズっていう高級マンションで今でも値段が下がってないような所があるけれど、あれを作る時にも市価の半値ぐらいで売っちゃった、と。今度はデベロッパーに50年間貸すということになっている。8000坪。日本赤十字社の広尾の土地は高台のとってもいい所で元々は4万坪あって、そのうちの2万坪を半値で売ってしまったために病院が十分なものが建たなかったということがある。今回は、住友不動産は400億円出すと言った、それに対してみずほ信託は241億円しか出さなかった。広尾地区の再建築整備事業検討委員会というのができて病院の代表は院長1人しか入れなかった。あとはイエスマンだけ。その組合で絵を全部作っちゃった。本社の奴は、広尾まで足を運んで土地の値段を決めるとか全然しない。僕らの前には東京女学館、お嬢さん学校がある、その下には川がある。その一番低い所の値段で契約している。

 看護大学の建物をつくる時に本社には22億円の借金があった、それにさらに10億円、看護大学から拠出させた。で、結局、僕が引き継いだ時には借金が32億円。

 ここ(国立がんセンター)は官庁に言わないと判断が遅れて困るということなんだと思うけれど、民間だと普通は潰れる。日赤は、日本赤十字法というのに守られて、その裏のドロドロは凄まじいものがあると思っている。住友不動産が400億円出すと言ったのを、民間企業でありながら、どういうわけかみずほにさせてしまった。訳が分からない。それで本社の連中は、住友不動産の計画は実現性がないと言った。実現性のないようなことを住友不動産ともあろう会社が提案するか、契約書をちゃんと作ってもしできなかったら、ものすごく自分たちが苦しむのに。(後略)」


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