「何百万円で動く私でない」 土屋がんセンター院長、自ら退く
竜
「私も基本的にはそういう考えだが、日本としての、どこでやっても結構だが、プロジェクトをやって、国民が幅広くそれに協力することをやらない限り、エビデンスができない限り、あっちがいい、いやこっちだと右往左往するわけだから、エビデンスをつくっていく所をきちんとやる、スタディデザインをきちんとやる所が抜けちゃうと無理だと思う。役人が決めろと言っているわけではない」
上
「その通り。だから皆さんが創意工夫をしてデータベースを共に公開してみんなで議論してということ。この建物の中がナショナルセンターとか勝手に決めない方がいい。いいものが残って行く。私が在職した5年前に、この場にこれだけ幅広い人が来たことなどなかったと思う。今日は患者さんも多数来ているし、日本医師会の副会長候補も来ている。ナショナルプロジェクトとか言わなくても、日医でこうだと言ってもらうこともできるし、メディアも来ている。こういう状況をつくった土屋先生に本当に敬意を払いたい」
清郷氏(混合診療訴訟原告)
「この場にいる先生方にお聞きしたいのだが、混合診療がいけない理由が分からないので教えていただきたい」
竜
「医療は基本的には自分たちで創意工夫をこらしたもので先に行っている場合が多い。ある程度みんながいいなと思った所で保険適応になるというのがほとんど。そういう意味では私自身もずっと適応外をやってた。ある程度まとまってくると先進医療になるという風で、最初に適応を決めてやっているというのは少なかった。今は創意工夫をできにくくなっている。混合診療というものを振りかざしちゃうと何も動けなくなるけれど、この患者を助けるためにどういう治療がいいか、やってみてよかったらじゃあ広まっていくものだと思う。それを国が後から高度先進医療という形にしていた。高度先進医療じゃないとやっちゃいけないというのではなくて、私たちの時代はボンボンやってた。で、いいものは残って悪いものは消えた。残ったものが先進医療になっている。そこで世界に認めてもらおう日本で認めてもらおうと思ってやっていた。基本的に私たちの世代はそうやって医療を切り拓いてきた」
清郷
「私の主張も、あくまでも患者を救うということ。厚生労働省が統制するようなものじゃなくて、医師の自律と患者の自己決定、インフォームドコンセントに基づいて自己決定、そういうものでがんや難病に立ち向かうということがあってよいのでないか、ということで訴えてきた。今日の村重先生のお話で感じたのは、医師が裁量権を振るおうにも、それがいいものなのか悪いものなのか有効性・安全性の判断材料が医療の側に提供されてないんだと。データベースが公開されてないんだとすれば、国が、医師の裁量を閉ざしておいて統制すると、こういう仕組みになっているとしか思えない」