「女性という『性』を失う」子宮頸がん‐癌研公開講座で患者会の穴田佐和子氏
もう一つ、放射線治療も受けました。リンパ節に転移があるという事は、リンパ節は体の免疫をつかさどる、循環しているものの関所のようなものですから、数か所見つかったということは、全身に転移がある可能性があると判断されまして、その後の放射線治療も追加されました。骨盤内に照射する治療と、傍大動脈という大動脈の周りにある手術で取り切れなかった部分に放射線を当てました。毎日1回数分間大きな機械の中に寝そべって、何も痛くもかゆくもないんですけど、このような治療を1、2カ月と続けました。初めのうちは何も感じなかったんですけども、放射線治療を続けていくうちにだんだんと普通の便だったのが下痢になり、口から食べたものがそのまま便として出てくるという未消化便という状態になりまして、それにも悩まされました。放射線療法と抗がん剤療法を同時に受けていましたので、上から吐いて下からくだしてという、とても大変な時期でした。
後遺症としては、今でも排尿障害を抱えています。子宮頸がんは膀胱に近い部分にあるもので、そこの部分を手術する時にいじってしまったため、神経が一部麻痺したような状態になりやすいのだといいます。私達は手術後に導尿というトレーニングを受けるのですが、自分でお手洗いに行ってもなかなか尿を出す事が出来ない状態です。それをストローみたいな導尿の管で、お腹の中の膀胱に溜まってしまった尿を出して、それを繰り返して、自力で出して、出せなかった分をストローで出して、というのを繰り返して自分で出せるようになるのをトレーニングします。私は比較的上手にできたのですが、そのときのコツとしていくら力んでもうまく出なかったのですが、鼻をかむとどうやら出るらしいという事が分かりまして、いつもトイレでは鼻をかむようにしました。今でも、鼻をかんでいます。今でもほとんど無意識のうちに日常となっていますので、何も不便は感じないんですけど、普通の尿の感覚とは違い、腹部の張りですとか、時間でトイレに行くとかでコントロールしています。
もう一つ、私が抱えているとても大きな後遺症はリンパ浮腫です。手術をしたり、放射線を受けたりして、リンパ節にダメージを受けたために私の中の循環器系が狂ってしまったのか、よく起きる後遺症なんですけども、片足だけ右側だけ左足よりも10センチぐらい周計が太くなっています。初めのうちはこれについて何も分からなかったんですけども、だんだん自分で調べるうちにこれがリンパ浮腫だと分かりまして、治療法を見つけ、そして今はきつい圧迫着衣という、弾性ストッキングというのを履いて過ごしています。「たかがむくみだろう」と昔先生は仰ったんですけども、「命が助かったんだからしょうがないんだよ」と言われたんですけども、生きていく患者にとってはとても大きな後遺症で、ほっておくとどんどんむくんでいってしまいます。感染とかも繰り返して皮膚に炎症ができたりすると発熱して、何度も入院しないとけなくなりました。こういうことを何度も繰り返していくと片足が20キロ30キロとなる人たちも出てきます。今はそこまでの方はいませんが、まだまだ治療は行き届いていないと思っています。