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「家族が強くなれば、施設も変わる」―認知症患者の介護家族の声①


■「薬を減らしたい」
 
――精神科病院に入ってすっかり元気を無くされたのですね。
 
入院してから1年後に特養に入所できたのですが、病院にいる間にどんどん体力も記憶力も衰えて、食事もほとんど自分では取れなくて、車いすになりました。家族も介護者も区別できないような状態です。そして半年前ぐらいに、ただただ眠るだけで、点滴をするだけの状態になりました。でもその時、眠って点滴している状態で何も食べてない、動いていないのにお薬だけは1日3回飲んでいたんですね。それで私も不審に思いまして、特養の方にも先生はいらっしゃるんですけども、以前の精神科病院の先生に相談に行きました。すると、「そのお薬は元気な時はなんともなくても、体力が落ちてくると効き過ぎてしまうので、一度減らして様子を見ましょう。それでもだめなら胃ろうも考えないといけません」と言われました。アルツハイマー型認知症の末期は食べられなくなると聞いていましたが、それでも胃ろうは絶対にしたくないと思っていました。娘にも、「もし私がそうなっても胃ろうにはしないで。パパにもね」と伝えてあります。それでも一度は覚悟したのですが、特養でお薬をちょっと減らしていただくようになってから、少しずつ食べられるようになりました。そして元気になってきました。
 
――薬を減らしたことの効果が出てきたのですね。
 
食時も介助はいりますけど、間食もするようになりました。半年ほど前に施設のお医者様と看護師さん、栄養士さん、ケアマネさんや関わってくださる方々とケアプランを立てるための話し合いがありました。その時に家族の要望を聞かれて、私は「お薬をなくしたい」とお願いしました。精神科の薬のことなので、特養の先生に気兼ねはありましたが、前の主治医の先生に相談したいと言うと、「慣れている先生なので行ってきて下さいね」と快く承諾していただきました。お薬は全部一度になくすと状態が変わっていけないので、様子を見ながら少しずつ減らしてなくしていきましょうとなりました。そうなってから、だんだん元気になってきて、食事もミキサー食から刻み食に、今は普通食になりました。自分でお茶碗やお箸を持って食べられますし、こぼれても手で拾って食べられます。今では週に3,4回施設に行ってお昼ご飯を一緒に食べていますけど、私のお弁当を主人も欲しがったりするので、お肉や唐揚げをあげることもあります(笑)。特養の先生からも「元気になられましたね。今度はいつ外泊されるのですか」と声をかけていただけています。
 
――今はどんなお薬を飲まれているんですか?
 
今は血圧を下げるお薬と、運動をしないから便秘がちになるので便を軟らかくするお薬、それと抑汗散(神経症や不眠の人などに処方される漢方薬)、それだけです。
 
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