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過去の病ではない! HIV/AIDS

たとえ感染しても、死の病ではありせん。

 まずは、HIVが一体どういうものなのか知るところから始めましょう。
 ウイルスとは、生物の細胞の中に入り込んで、その細胞の力を借りながら自分自身のコピーを増やし、やがて細胞を破壊するもののことです。HIVは、CD4陽性Tリンパ球(以下CD4と呼びます)という免疫の司令塔や、マクロファージという免疫の最前線にいる細胞に感染して、どんどん壊していきます。
8-1.1.JPG 人体を町に例えるなら、HIVは警官だけ選んで寄生するエイリアンのようなものです。警官が次々に倒れて足りなくなった結果、別の外敵が侵入してきて暴れたり、普段はおとなしくしている住人の一部が暴徒と化したりするのがエイズで、やがて町そのものが滅んでしまいます。
 HIVに感染してからエイズを発症するまで、個人差はあるものの大体10年程度かかります。現在は薬が進歩したため、まだ警官が残っているうちに治療に入れば、完全に撃退することはできないまでも、エイズ発症のリスクをゼロに近づけることはできると考えられています。
 となれば、エイズ発症前に感染に気づきたいところです。
 感染すると、まず初期症状が出ることが多いようです。のどが腫れて痛くなったり、高熱が出たり、筋肉痛になったりというインフルエンザによく似た症状が2週間ほど続き、 そのうちすっきり治ります。初期症状は、ウイルスが体内でいったん爆発的に増えることによって起こります。厄介なのは、この時期にHIV感染を疑って検査をしても感染を検知できないことです。また、初期症状の出ない人もいます。初期症状段階で感染を検知できない理由は、通常のHIV検査がウイルスそのものを検出するのでなく、抗体(ウイルスを排除するための目印として免疫が作るタンパク)を検出するものだからです。抗体が作られ始めるのは、感染してから1カ月半から3カ月程度かかります。
 初期症状段階が過ぎると、何年も症状のない時期が続きます。このため、たいていの感染者は、自分が感染していることにまったく気づきません。時折、帯状疱疹が出たり、口の中にカビが生えて白くなったりすることもありますが、一過性で治ってしまいます。内科医を受診したとしても、医師の方がHIVに思い至らないことも多いです。
 もちろん帯状疱疹が出たり、口にカビが生えたからといってHIVに感染したとは限らないのですが、もしそういう症状が出たら、念のためにHIV検査を受けてみた方が無難とは言えるでしょう。

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