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過去の病ではない! HIV/AIDS

異性間の性交渉でも感染するリスクはあります。
8-1.2.JPG 冒頭で、HIVの感染者がどんどん増えているという話をしました。どの程度の増え方かというと、厚生労働省の把握している数字では、下グラフのような感じです。04年、05年と連続で新たな感染者が千人を超えました。
 しかも、前項で説明したように10年程度の潜伏期間中は自覚症状がないため、実際の感染者数はこの何倍もいると考えられています。自分が感染したことに気づかない人は、知らないうちに身の回りの人を感染させてしまう危険性があります。
 繰り返しになりますが、本人のQOLのためにも、周囲の人のためにも、早く感染に気づくことが大切です。まずは、HIVがどのように感染するのか知らないことには始まりません。
 HIVがリンパ球に取り付くというのは既に説明しました。言葉を換えると、HIVはリンパ球のあるところ、つまり血液中や精液中、膣分泌液中に存在するということになります。これらが別の人の体内に入り込むと感染します。この経路は、大きく分けて5つあります。
 ①性交渉②母子感染③血液製剤や輸血④麻薬注射の回し打ち⑤医療従事者の針刺し事故、です。
 我が国の血液製剤経由を除いた感染者の4人に3人を占める①については、次のページで紙幅を取って説明します。
 ②は、子宮内にいる段階、分娩で赤ちゃんが産道を通って出てくる時、母乳を通じてという3パターンがあります。最後の母乳は意外かもしれませんが、母乳にはお母さんの血液成分が含まれているのです。母子感染の多くは、母親が自分の感染に気づいてさえいれば防げるものなので、ここでも早く感染に気づくことが大切になります。
 ③の代表例は、薬害エイズ(コラム参照)として、皆さんの記憶にも残っていることでしょう。
 ④は、日本では多くありませんが、麻薬を使っていると大抵お金に困るようになるため、同じ針で何人も回し打ちすることが多くなります。針の中に残った血液を血管内に入れてしまいますので、とても高い確率で感染します。
 ⑤は、発想は全然違いますが、針刺し事故でも麻薬の回し打ちと同様の危険性があります。このため医療従事者は、血を見るような治療の際には手袋をすることが多いはずです。お互いの無用な感染を防ぐための措置で、あなたに直接触りたくないということではありません。
 また世の中には、B型肝炎ウイルスのように、HIVより遥かに感染力の強いウイルスも存在しますので、医療従事者の手袋を見ても、気分を害さないようにしましょう。

薬害エイズのこと、おさらいします。  血友病といって、出血時に血を固める成分(血液凝固因子)が作れないか、不足してしまう病があります。この患者さんたちは、出血を止めるため、もしくは出血を予防するために、他人の血液から精製した血液凝固因子の製剤を日常的に用いています。  1970年代後半から80年代にかけて投与された非加熱血液製剤にHIVが混入していたことから、血友病患者の約4割がHIVに感染して多くの方が亡くなりました。  この件で患者さんたちが製薬会社と国を訴え、被告側が全面的に責任を認めて96年に和解が成立しました。製薬会社の経営者や旧厚生省の担当官は刑事責任も問われ、有罪判決が出ています。

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