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研修医が見た米国医療4

外来主治医とホスピタリスト

反田篤志 そりた・あつし●医師。07年、東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院での初期研修を終え、09年7月から米国ニューヨークの病院で内科研修。

 前回述べたように、外来主治医が全ての入院患者さんを診ることには、入院診療が濃厚なケアを必要とする点から、やや無理がありました。
 それを解決するために登場したのが、日本でいう勤務医、ホスピタリストという存在です。彼らは病院に雇われ、主に病棟主治医として働きます。外来の主治医は自分が入院中も主治医となるか、彼らにケアを任せるかを選ぶことができます。
 これによって患者さんは、ホスピタリストが診る場合と、外来主治医が診る場合に分かれることになります。
 研修医からすれば、これは新規入院患者さんを受け持つ際に一番初めにチェックする大事な項目です。それによって対応が大きく異なるからです。
 ホスピタリストが診る方が、研修医にとってはありがたいです。なぜなら、彼らは基本的に病院内にいますので、連絡がつきやすく、方針の確認が容易なためです。また、彼らは研修医の教育も担っているため、私たちの考えを聞き、診療方針を議論して決めるなど、研修医の意見を積極的に取り入れようとしてくれます。研修医からは身近な存在であり、与し易しといった感じでしょうか。
 逆に気をつけなければいけないのが、外来主治医が患者さんを持つ場合です。彼らは患者さんを長い間診ており、患者さんとの信頼関係も構築されていますので、基本的には彼らの意見は絶対です。研修医のその場の判断より、患者背景までしっかりと把握している主治医の意見が正しいことも多いのも事実です。しかし中には個性の強い医師や、自分のやり方を持った医師がいて、広く認められている治療法と異なる方針が採られることもあります。よほど患者さんの安全が脅かされる場合を除き、その方針には従わなくてはいけません。アメリカは誰とも対等に議論することが推奨される国というイメージを持っていましたが、意外とそうでもないのです。
 研修医が意見を述べても無駄に終わることが多く、意思決定の蚊帳の外にいるように感じ、その患者さんに対する責任感は欠落していきます。患者さんの訴えを聞いても、それに緊急性がない限りは、自分で対処しようという気が起こりません。後で主治医の先生に聞いてください、ということになります。これは研修医にとっても患者さんにとっても望ましいことではありません。また緊急性がないように感じた小さな訴えが、実は大きな問題の始まりということもあり、それを見落とすことにもつながります。
 オフィスでも病院でも働くことができ、患者さんを継続して診ることのできる仕組みは医師からすると魅力的で、日本でも最近導入されてきています。しかしながら、それが必ずしも効率的で良い医療につながるわけではなさそうです。アメリカが逆に勤務医と開業医を区別する日本式のシステムに近づきつつあることが、何よりの証拠です。

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