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研修医が見た米国医療8

ぐったりする週末の病棟当直

反田篤志 そりた・あつし●医師。07年、東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院での初期研修を終え、09年7月から米国ニューヨークの病院で内科研修。

 週末の病棟当直ほど嫌なものはありません。日本とは違い、米国の研修医は当直でない限り、週末に病院に来ることはありません。誰も週末に働きたくないというのと、労働時間規制により来てはいけないことになっているからです。そのため、週末の病棟当直は朝に自分の患者さんだけでなく他の研修医の患者さんの分も夜間当直の医師から引き継ぎます。担当するのは1人1病棟(30人ほど)で、日本に比べ担当する患者さんの数は少ないので楽かと思いきや、これが結構大変なのです。
 最も大変なのは、他の研修医が受け持っている、自分の知らない患者さんの対応です。朝に簡単な症例要約は引き継がれますが、すべての患者さんを把握するのは、時間的にも能力的にも不可能です。
 ほとんどの患者さんは毎日血液検査をするので、午前中にその結果を確認します。そのうちそれぞれの患者さんの主治医や代理の医師がばらばらの時間に来て、カルテを書いて残していきます。親切な主治医は、何をしてほしいかを伝えてくれます。しかし大抵は何も伝えず去っていくので、自分で適宜カルテを開いて確認しなければいけません。最悪の場合は、普段は診ていない患者さんの治療に関して議論を開始し意見を聴いてきたり、その前の日に書いたことが実行されていないなどと叱りつけてきたりします。知らないものは知らないですし、前日の担当は自分ではないのですが、そこで不服な顔をしてはだめです。できる範囲で自分の意見を述べながら、大抵は相手の意見に同意してなるほどと感心した顔をし、必要ならば謝らなくてはいけません。
 同様に各専門科の医師もそれぞれ来てはカルテを書いていくので、それも確認し、必要な検査や治療を追加しなければなりません。よく知らない患者さんを新たに専門科にコンサルトしなければいけないのも大変です。やれと言われたのでやっています、とは言えませんので、知ったふりをして症例の要約とコンサルトの理由を伝えます。相手から突っ込んだ質問をされた場合は、うまくかわすか、素直に分からないと言って謝るのが一般的です。主治医がどうしても診てほしいと言っています、と念押しに付け加えれば、大抵は納得してくれます。
 そうこうしているうちに患者さんの家族が現れ、治療方針はどうなっているのか、容体はどうなのかと聞いてきます。知りません、と言いたいところですが、カルテや引き継ぎの資料を見て、何食わぬ顔で説明しなければなりません。もちろん大事な部分や未決定の部分は、担当医や主治医に後日訊くように伝え、その場を切り抜けます。
 その一方で自分の患者さんのカルテ書きに加え、その前の晩に入院した患者さんの把握と治療方針の決定、その日に入院してくる患者さんの入院診察やカルテ書きを同時並行で進めます。もちろん急変が起きた場合に対応することは言うまでもありません。
 一日の終わりには、完全にぐったりしています。

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