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がん⑧ 放射線治療なぜ効くのか


そして次世代放射線治療へ。

74-1.3.JPG 放射線治療の効果を飛躍的に向上させたSRTですが、まだまだ課題もありました。小さな病巣であればよいのですが、大きく複雑な形をした腫瘍にまでは対応しきれないのです。そこを解決すべく開発されたのが、強度変調放射線治療(IMRT)です。
 IMRTは、コンピュータでの線量計算に基づいて、多方向から照射される放射線の量を細かく調整するもの。多く放射線を当てたい部分、中等量でよい部分、照射を避けたい部分を詳細に設定できます。立体的な照射によって、高精度で腫瘍の形状に合わせた線量分布を作り出し、一方で正常組織の被曝量を最小限にして副作用を小さくできます。
 具体的な装置としては、どのように線量分布させるか制御する治療計画装置と照射ビームの形を変形させる装置を備えているリニアック、それに患者個別の線量検証ツールが用いられます。一部のがん診療連携拠点病院などで採用されています。この他、放射線照射にヘリカルCTの原理を応用した装置(X線ビームをらせん状に回転させながら、病巣に絞って照射が可能)など、新しいIMRT装置が開発、実用化されてきています。
 IMRTは、昨年4月からは固形がんすべてに保険適応となりました。頭頸部がん、前立腺がん、脳腫瘍などのケースでよく利用されています。

粒子線で開けた可能性

 ここで放射線について、もう少し説明を付け加えておかねばなりません。
 一番最初に申し上げたように、「放射線」には、電磁波のほかに粒子線(目に見えない小さな粒子が、高速で一定方向に向かい細い流れ)のグループも含まれています。がん治療で特に知っておきたいのが、陽子線や、炭素の原子核で作り出す重粒子線。それぞれ「陽子線治療」「重粒子線治療」と呼ばれ、近年、目に見えて成果を上げています。
 これら粒子線治療では、サイクロトロン(円形加速器)やシンクロトロン(同期加速器)といった加速器を使って陽子や炭素の原子核を加速し、がんに集中して照射します。粒子には、「運動を停止する直前に最大のエネルギーを放出する」という性質があり、がん病巣の内部で粒子が最大のエネルギーを放出するように速度を調節するのです。エネルギーが一定に伝わっていく従来の放射線と違って、あたかもがん病巣をくり抜くように照射でき、正常な組織への影響は大幅に抑えられる、というわけです。
 重粒子線治療では、表のようなタイプのがん細胞も殺すことができるのが画期的。しかし他方、高いエネルギーを集中させるので、少しでも的を外せば大変です。そのため胃や腸のように不規則に動く臓器や、白血病のように全身に広がっているがんには適応できず、効果は遠隔転移のない固形がんに限定されます。

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体の中から照射する? 通常、放射線は体の外から照射します。しかし、体内から、つまりがんの内部や傍らから照射する方法がすでに開発されています。小線源治療と言います。▽線源としてRIをがん病巣内もしくはその傍らに入れます。がん病巣に集中して照射し、周囲の正常組織への影響を小さくする目的です。イリジウム、ヨード(セシウム、リン、金)などのRIが、管や針、ワイヤー、粒状など様々な形状の容器に密封され、がんの内部やその近くに挿入されます。なお、大きく成長した腫瘍には適していません。
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