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2週続いたら口内炎も受診を~それって本当?

原因不明の口内炎が2週間以上治らない時は、がんその他の内科疾患が隠れているかもしれません。
専任編集委員 堀米香奈子(米ミシガン大学環境学修士)

 「口内炎」と聞いて多くの人が思い描くのは、口の中にある日突然現れ、ひどく痛んでいつの間にか消えていく、厄介な出来物のことでしょう。


 よく見ると大抵、直径数ミリの楕円形をしていて、「偽膜」と呼ばれる白っぽい膜に覆われ、その周りは赤くなっているのが分かります。


 これは「アフタ」と呼ばれる粘膜のびらんや潰瘍です。びらんとはただれ、潰瘍はそれより深い組織の欠損ですが、口内炎の両者は、見た目や自覚症状では区別がつきません。どちらも、食べ物や歯ブラシが当たったり、酸っぱいもの、塩辛いものなどの刺激があったりすると、鋭い痛みが走ります。


 実は口内炎という言葉自体は、「口内粘膜に出来た炎症」の総称なので、もっと色々な形態があります。


 過去およそ40年間の論文を網羅的に調べた報告では、人口の最大25%が罹患し、3カ月以内にその半数ほどが再発しているとしています。そうやって発症しては治るのを繰り返すのが「再発性アフタ」で、口内炎の中でも最もよく見られる病変です。


アフタは原因不明

 

 ところが、これだけ一般的なアフタの原因が実は不明。物理的刺激や遺伝的要因、極端な疲労、消化器疾患、栄養の偏り、ホルモンの乱れ、精神的ストレス、免疫の異常など様々な要素が絡み合って発症すると考えられ、現在も検討されています。


 よく聞くのは、「ビタミン不足のせい」という話ですが、「それはごく一部です」と、慶應義塾大学歯科・口腔外科学教室の角田和之講師。「まして、既に出来てしまったアフタについて、『ビタミンを摂って回復が早まる』と言う証拠は確認されていません」


 痛みがひどい場合、歯科を受診すれば、軟膏などの対症療法薬を処方してもらえますし、薬局でも購入できます。ただ、「通常は放っておいても、2週間以内に跡形なく治ります。それ以上続いたり、他にも体に不調が現れたりするようなら、病的な原因が潜んでいる可能性があります。まずは、歯科あるいは口腔外科を受診した方が良いでしょう」


がんは痛みがない?


 口内炎を特徴とする病気として考えられるものの一覧は表の通りです。


 例えば、外傷というのは、口の中や舌を噛んでしまった、入れ歯が当たる、といったこと。口内炎に発展させないため口内の清潔を保つことが大事です。「洗口液を使うのもよいですが、その場合は低刺激の製品がお勧めです」と角田医師は話します。


 また、アフタを症状とするもので、通常の再発性アフタとの見分けがつきにくいのが、ベーチェット病です。


 全身に炎症が起きる難病で、多くは最初に、口内のアフタや、皮膚の赤い発疹、眼の粘膜炎、外陰部の潰瘍の4つが現れます。国内患者数は2万人程度と、アフタの発症頻度からすれば多くないのですが、失明率が高く、20歳代後半~40歳代の働き盛りに多く見られます。稀に腸管や血管、神経などが侵されると、命を落とすこともあります。


 「アフタがなかなか治らず、皮膚や外陰部にも出来物が出た、治ってもたびたび繰り返す、というようなら、受診してください」と角田講師。


 また、口内炎は痛みで気づく人が多いものですが、痛みのない口内炎が長引くようなら、がんの可能性もあります。


 「がん性潰瘍の9割が、舌の淵や、舌の下に隠れた口腔粘膜に出来ます。通常の口内炎の治療を施しても2週間以上改善せず、むしろ悪化する場合は、がんを疑います」


 痛みがないので、気づかれないまま放置されていることも少なくないそう。歯磨きの際、たまに鏡で舌の淵や裏などまでチェックしてみましょう。がんの場合、アフタとは見た目も全く違い、いびつな形で、まだらに白くなったり赤くなったりしています。注意して経過を見守,り、治りそうになかったら受診しましょう。


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