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「お出かけ促進」をめざす 輪島市の新交通システム ~ハート・リング通信㊶

ハート・リング運動専務理事 早田雅美

 高齢者ドライバーが関わった事故のニュースが目立ちます。車社会日本が超高齢社会となったのですから、当然予測された事態だと言えます。


 そして今年3月、道路交通法が改正されました。今までは免許更新時に受ける認知機能検査で、75歳以上のドライバーが「認知症のおそれあり」と判定されたとしても、実際に「認知機能低下が原因と思われる」一定の法令違反を起こさない限り、医師の診断を受ける必要はなく、免許を持ち続けることもできました。改正後は、「おそれあり」の判定後直ちに医師の診断を受けることが義務化され、そこで認知症と診断された場合は、免許取消しや停止などの対象となります。
 3月以降、当運動へいただくメールや電話相談では、認知症の疑いにより運転免許が更新できなかった後の生活不安が目立ちます。
 車が生活を支えていた方の免許がなくなった後の生活のための移動手段について早急に対策が講じられなければ、高齢者には不安を与えるばかりです。
 石川県の輪島市では、商工会議所が中心となって、高齢者や観光客のための斬新な新交通システムがスタートしています。なんとゴルフ場で見かける電磁誘導式エコカート(自動運転可能)が、全国に先駆けて昨年11月から、公道に埋め込まれた誘導線の上を時速12キロ以下で走行しているのです。

 道交法改正と呼応したものではなく、輪島商工会議所の里谷光弘会頭の発案と想いからスタートした、「新しい高齢者の足」「観光客の利用も見据えた次世代交通事業」の地域活性化施策ということです。ヤマハ発動機の協力を得て、実に構想から6年にわたる検証と様々な苦難を乗り越えて公道走行に至ったということです。

 この新交通システムの安全性や乗り心地も素晴らしいですが、里谷会頭がこの事業のコンセプトとされた「お出かけ促進」は、今後あるべき認知症の人や高齢者全体の暮らしを考えるに当たって、とても大切な言葉だと思います。認知症の人や高齢者が、陽の光を浴び、生を実感できる社会であってほしいものです。

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