特定機能病院もメディカルクラーク配置を-文科省補正予算案 コメント欄

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2009年05月05日 12:00

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 文部科学省は、メディカルクラークを配置しても加算が取れない特定機能病院も人員体... 続きを読む

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記事によると、文部科学省の補正予算案での想定は、1人当たりの人件費を約270万円です。決して高給とは言いがたい処遇条件ですね。で、この270万円を12で割った月額22.5万円が、給与手当の支給額と思ってはいけません。

予算案では人件費となっていますので、この270万円には法定福利費(社会保険料の事業主負担分)を含むものと解するのが相当です。一応法定福利費の対象となる社会保険料は、健康保険・介護保険・厚生年金保険・児童手当拠出金・雇用保険・労災保険の6種で、これらの平成21年4月時点での事業主負担分は135.5/1000(介護保険に該当しない40歳未満は129.55/1000)です。年齢にもよりますが、事業主負担は給与手当支給額の概ね13%分となります。

ですので予算案での人件費270万円には、この13%分が含まれていると考えるの普通です。そこで270万円の年間人件費から、この事業主負担の13%分を控除した給与手当支給額は約年間240万円となり、月額では20万円と計算されます。そこから社会保険料の本人負担分(介護保険非該当で約12.2%)が控除されますので、税引き前手取り額は175,650円で、仮に独身とすると源泉所得税3,830円が更に控除されますので、税引き後の手取額は171,820円となります。

その計算を基に職安に出すメディカルクラーク職の求人票を作成すると下記の通りとなります。

 職種:メディカルクラーク
 募集人員:1100人
 年齢:不問
 必要とされる資格・経験:看護師や医療事務などの経験者優遇
 雇用期間:12ヶ月間の有期雇用契約
  (契約更新は次年度予算次第、予算が付かなければ1年限り)
 給与:月額20万円(40歳前で独身では控除後手取り額171,820円)
  (賞与の予算無し、通勤手当の予算無し、時間外手当の予算無し)
 加入社会保険:雇用・労災・健保・厚年

さて、この求人票に一体何人の応募があるでしょうか?
最近は不況で休職者が職安に溢れているとは言え、この求人条件はちょっとねぇ。文科省のお役人さん、自分達は職安には縁がないかもしれませんが、一度職安に出向かれて求人票を実際に閲覧してこられては如何でしょう。

 応募はないでしょうね。まして、インフルエンザ騒ぎで病院はいざとなると修羅場で、役所もマスコミも敵に回ってしまって、決して守ってはくれないということが医療従事者以外の皆さんにもわかってしまっています。

 ただし、応募がなければ、現在無給の大学院生等をメディカルクラークとして採用して、健保と多少なりとも年金を支給することができます。

どうでもよい話ですが

clerkという用語は単独では銀行員や受付などを指す場合もありますが、頭に別の用語がつくと独特の意味を持つことがあります。

例えばcourt clerkと言うと裁判所の書記官ですが、law clerkと言うと、ロー・スクールを卒業したばかりの成績上位者の中から、公判前に裁判官に意見を述べる人を指すようですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Law_clerk


また、医療関係では、clinical clerkと言うと、臨床実習を行う医学生の意味だったりします。
http://www.familymedicineuwo.ca/residents/documents/Goderich_Med-Trainees.pdf


本件のmedical clerkの場合、

日本では医療事務を指す意味で使われる場合もあるようですが、
http://job.1049.jp/service/medical-clerk.html
豪州や
http://www.acpeople.com.au/cat/Medical-Clerk_679.htm
米国では
http://federalgovernmentjobs.us/job-search/medical-clerk-0679.html
どうも、病棟や病室で患者の世話をする人(日本で言う付添い人?)をイメージしているように思えます。

中村利仁 様
>応募がなければ、現在無給の大学院生等をメディカルクラークとして採用

なるほど、補正予算の本質は「人件費」ではなく「奨学金」なのですね。

> 「奨学金」

 病棟で時間の大半を過ごしている大学院生は、やはり労働者です。多くは30歳過ぎの妻子持ちで、朝6時から日付の変わるまで毎日病棟で働き、ヒマを盗んで実験をして、たまの非番の週末にバイト診療に行って生計を立てています。

 かつての研修医と同じ構造です。

 専ら国立大学に予算がないという理由でタダ働きになっています。場合によっては当直料すら出ません。この5年間、研修医が減った分の労働力は無給(あるいは奨学金なみの薄給)の大学院生が補っています。

 イヤなら辞めればいいのです。実際、人が集まらなくなり始めているところが少なくありません。

>病棟で時間の大半を過ごしている大学院生は、やはり労働者です。

この実態がそもそもおかしい。院生はあくまでも大学院生なのであって、診療行為を行ってはならないはず。それをもし教授が強要しているとするなら教授の認識が間違っているのであり、教授が来るなと言っているのに勝手に来るのであれば、院生自身の認識が間違っているということになると思います。


>イヤなら辞めればいいのです。

その通り。
若い医師には、早いところ乳離れして、足の裏の飯粒(博士号の例え)を取ることなどに一生懸命にならず、広く世間に出て多くの患者のために役立ってほしいと願う次第。

大学院生の労働

大学院生に対して賃金を非常勤医として支払うことは、事務的に可能ですし、そうしている大学もあります。
大学院生が大学病院で診療することに何の問題もありません。ただ、学業に差し支えの無い範囲でという但し書きがつきますが。従って授業に出る時間(授業の手伝いや本人が医学生に教えるのではなく、大学院として設定された授業に学生として出席すること)と、研究論文を作成する時間(実験時間を含みます)を大学の規定に従って確保しなければなりません。

採用実績から言えば、十分応募者はいると思います。経験者が来る保障はありませんが、これまで1年の非常勤事務者は平均3倍程度の求人率です。

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