管理栄養士が調剤薬局、健康支援NPOで活躍中

投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2017年04月27日 12:26

管理栄養士1.jpg「自分は健康」と思っている人を、楽しく医療につなげるには?の続きです。

さらにこの認定NPO法人健康ラボステーションのイベントが面白いのは、調剤薬局で働いている管理栄養士が活躍していることだ。

管理栄養士の新しい健康支援、疾病予防の形として、一つの新しいモデルになるかもしれない。

測定会で来場者は測定結果をもとに管理栄養士から食事指導などを受ける。当日も3人の管理栄養士がひっきりなしに来場者から相談を受けていた。スタッフは腕に職種を書いた腕章を付けていたので、誰が管理栄養士で薬剤師か一目で分かった。相談用の席は常に満員、管理栄養士は忙しく動き回っており、イベントの中でも重要な役割を担っていることは見て取れた。

健康ラボステーションは立ち上げ時から、関西で調剤薬局グループを経営する株式会社育星会の協力を得て、測定会や健康イベントには薬剤師をはじめ多くのスタッフが参加している(特にコレステロールとHbA1cの測定器など特定の医療従事者でないと扱えない器械もあるため、薬剤師がスタッフにいるのは強みだ)。

中でも注目すべきは育星会では管理栄養士が働いており、彼女らが測定会で食事指導を行っているということ。調剤薬局では事務もしているそうだ。

調剤薬局と管理栄養士、ぱっと聞くとあまり関係なさそうな気がするが、なぜ管理栄養士なのか?


■健康支援NPOでの活躍

元々は健康ラボステーションの活動を主に行うということで、育星会が雇用を決めたという。

健康ラボステーション理事長の浦田千昌さんに聞いてみると、健康指導では食事や運動の話が主になるため、管理栄養士がいれば個別具体的な指導ができ、市民からの評判もいいそうだ。健康ラボステーションがある企業で定期的に行っている出張測定会では、全社員のうちの1割が継続測定に参加して管理栄養士らの指導を受け、半年の間に肥満の人が12人から8人にまで減ったという。食べるスピードを落とした人や、日常の運動を増やした人もいた。社員の意欲にその企業の保健師も驚いていたという。

沖さやかさん.jpg測定会で相談を受けていた管理栄養士の沖さやかさん(25、写真)に話を聞いてみた。
「この活動の一番の醍醐味は来場された方と直接面と向き合って話せることです。顔を見て話をし、生活や背景を聞いて指導ができます。測定会で『こうしてくださいね』と伝えたことで、次回に『血圧が下がったよ』とフィードバックを聞けることが嬉しいです」。沖さんの卒業した専門学校では、学校の給食センターや病院、介護施設などに就職する管理栄養士が多く、栄養指導をする相手と直接話したり定期的に会ったりする機会は少ないので、この測定会ならではのやりがいがあるという。

■調剤薬局での活躍

育星会では現在6人の管理栄養士が働いているが、入社後3か月は調剤薬局の店舗で研修を行い、実際の薬局業務を行う中で薬剤師の仕事を知り、患者と触れ合う。現在の主な仕事はほぼ週に一度の測定会に関する業務だが、今後は調剤薬局での患者との新しい関わり方も視野にあるという。退院後の糖尿病患者のアフターフォローができないことを気にしている病院の管理栄養士もおり、調剤薬局と病院それぞれの管理栄養士の連携活動が考えられているそうだ。

管理栄養士2.jpg調剤薬局での管理栄養士の役割について沖さんに聞いてみた。
「患者さんの処方箋を見て話を聞き、例えば高血圧の方には減塩を、糖尿病の方には甘いものを控えるようにと食事指導することで、医療をサポートできることもあると思います。また、皆さん体にいいと思って普段やっていることが、意外とそうでないこともあります。例えば減塩のために顆粒だしを使われる方もいますが、中には塩分が高めのものもあります。個別に話せるとそういう具体的な話ができます。病院の栄養指導は患者さんが退院してしまうと関係が切れてしまいますが、調剤薬局なら病院より敷居も低く患者さんも行きやすいと思うので、そこで栄養指導を受けようと思ってもらえたら長期間接することができると思います。薬剤師と患者さんの食事内容や傾向などを共有でき、互いに患者さんの理解を深められると思います」。
食事の相談のために調剤薬局に足を運ぶ患者がいれば、かかりつけ薬局としての役割が深まるということもあるのかもしれない。

元々祖母が糖尿病で厳しい食事制限を受けているのを見て、制限を少しでも緩和したい、一人でもこういう患者を減らすことができたら、という思いで管理栄養士になったという沖さん。健康ラボステーションの測定会を初めて見に行った時に「自分のやりたい一次予防の活動にぴったりはまったと感じました」と笑顔を見せてくれた。


■管理栄養士の募集枠に求職殺到!

ちなみに、浦田さんや沖さんから聞いたのだが、管理栄養士を募集するドラッグストアは以前に比べて少し増えてきたものの、調剤薬局はまだまだ少ないそう。育星会が昨年管理栄養士3人を募集したところなんと100人以上から応募があったそうで、管理栄養士側は調剤薬局という新しい活躍の場に興味を持っているのかもしれない。

健康や予防をテーマに様々な医療従事者がボーダーレスに関わる新しい時代が始まっているのだろうか。この活動がその一つの場かもしれないと思った。


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