ワクチン輸入 「取り分減る人が反対」 民主党・鈴木寛参院議員 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年09月10日 12:52

 民主党の鈴木寛政調副会長は9日、新型インフルエンザの輸入に否定的な情報や見解が厚生労働省や傘下組織の職員から相次いで出されていることに対して「国産向けに確保した予算を横取りされると心配しているのだろう。民主党は輸入費用に予備費をあてるので横取りにはならない。タメにする情報は出さないでほしい」と述べた。(川口恭)

続きはこちら

<<前の記事:国産ワクチン増えるなら全国民分用意を 民主党・鈴木寛参院議員 コメント欄    新型インフル?昨日も今日も小児科へ。:次の記事>>

コメント

>タメにする情報は出さないでほしい
こんなのは野党の言い草で、与党になったら「政策の優先順位は政治が決めるので、金庫番の言い草なんか気にしないで科学的な主張をしてほしい」と言った方がきちんとした情報が出てくるように思います。

新型インフルエンザ対策改善要望書(民主党政権へ)
http://blog.goo.ne.jp/1945umare/e/9e0139d8208384a23b60c0996ef272b1

今後、輸入される海外製ワクチンについては、下記のように副作用の可能性が取沙汰されて問題となっています。

「海外製ワクチンにはワクチンの効果を増強するため、国内製にはない添加物が含まれており、予期できない重い副作用が起こる可能性が懸念されている。」(読売新聞より転載)
   http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090827-OYT8T00227.htm

 しかし、問題点は、海外製ワクチンの副作用が重い点ではなく、季節性インフルエンザワクチンと同様の手法で作られた国内製ワクチンでは、ワクチンによる感染予防効果が強くない点です。本来、ワクチン接種の効果には、免疫を持たない人が初めてワクチンを接種して免疫を獲得する「プライミング効果」と、すでに免疫を持っている人に対してワクチンを接種して免疫を増強する「ブースター効果」の二つがあります。「プライミング効果」があるワクチンを製造するためには、抗原性が高い全粒子ワクチンを採用するか、強く免疫を誘導するように免疫賦活剤(アジュバント)を入れて製造する必要があります。

 季節性インフルエンザワクチンは「ブースター効果」を目標に製造されているため、免疫賦活剤が入っておらず副作用は少ないですが、その効果は感染予防目的というより感染の重症化を防ぐことが目的です。こうした季節性インフルエンザワクチンと同じ製造手順で造られた国内製新型インフルエンザワクチンは、新型インフルエンザに全く免疫を持たない人に対して接種しても「プライミング効果」は期待できませんから、新型インフルエンザに対しても感染予防効果は強くないと思われます。

 一方、海外製ワクチンは、「プライミング効果」が発揮できるように免疫賦活剤(アジュバント)を入れて製造されています。つまり、人々が罹患したことがない新型インフルエンザに対するワクチンを製造する場合には、たとえ注射部位の腫脹といった副作用が多くなったとしても、水酸化アルミニウムゲルなどの免疫賦活剤を入れて製造しなければ十分な効果は期待できないのです。

また、アジュバントを使うと少ないウィルス抗原量でも強い免疫を誘導することができますから、今回の新型インフルエンザのようにワクチンの原料となるウィルスを十分に用意できない場合には、アジュバントを加えたワクチンを製造すれば数倍量のワクチンを準備できたわけで、現状のように海外製ワクチンを輸入する必要はなかったはずです。

 厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン問題の以前から、副作用は出るが感染予防効果が高いインフルエンザワクチンは国内認可してきませんでした。アストラゼネカ社では、粘膜免疫を誘導してIgA抗体産生を促がし、副作用があっても季節性インフルエンザに対する強い感染予防効果が期待できる、鼻に薬を噴霧するタイプの点鼻ワクチン(フルーミスト)というワクチンが実用化されていますが、この点鼻ワクチンが日本では認可されていないことからも厚生労働省の「事なかれ体質」が判ります。厚生労働省は、副作用を恐れて新型インフルエンザワクチンに免疫賦活剤を入れず従来の方法で製造している可能性があり、国内製新型インフルエンザワクチンに感染予防効果が十分にあるかどうかは、治験してみなければわかりません。

 新型インフルエンザワクチンにアジュバントを加えるかどうかについては「新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会」で下記のごとく論議されています。以下、抜粋。

「ヒトによる臨床試験では十分な抗体価の上昇が得られたなったことから、新型インフルエンザワクチンの開発に当っては、リン酸アルミニウム等のアジュバントの添加が選択肢の一つであると考えられている。なお、アジュバントを添加した場合には、必要な抗原量を通常の数分の1にまで減らすことができる可能性があり(中略)ワクチン供給量を数倍に増加させることが期待できるが、同時に(中略)接種部位の局所反応等の副作用が増加する可能性がある」
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/vAdmPBigcategory10/49256FE9001B533F49256F03001B4E9B?OpenDocument

今回のA/H1N12009新型インフルエンザワクチン国内製造においては、以下のような疑問点について厚生労働省からの明確な回答が求められます。

・なぜ、元々アジュバントを使わなかったのか?
・誰がアジュバントを使わない意思決定をしたのか?
・アジュバントを使わない選択をしたにもかかわらず、なぜ今さらアジュバント入りワクチンを輸入するのか?
・一回のワクチン接種で、本当に抗体価が十分に上昇するのか?
・一回のワクチン接種で抗体価が上昇したとしても、本当に感染予防や重症化予防の効果が期待できるのか?
・なぜ感染予防の観点から推奨されない10mlアンプルを採用するのか?
・ワクチン輸入を仮契約していたにもかかわらず、なぜ輸入が遅れたのか?

下記の東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学 森兼啓太先生が書かれた「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」を参照ください。
http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html#more

 旧来の政権のように何の情報も開示せず、感染予防効果は不明のワクチンを打って責任回避を図るのではなく、民主党政権は情報開示を行い、国内製ワクチンと海外製ワクチンの効果の違いを明確にし、副作用があっても実際に効果が期待できるフルーミストなどのワクチンも準備して、ワクチンを希望する人の自由意志で選択してもらうべきでしょう。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。