「日本におけるワクチン・ギャップ」 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年10月17日 11:29

 13日のがんセンター講演会。ディスカッションの前に行なわれた高畑紀一さんの講演内容を簡単に再現する。(川口恭)

続きはこちら

<<前の記事:この冬は、ヨーグルトが店頭から消える?    新型インフル ワクチン1回化は「科学の仮面かぶったデタラメ」 コメント欄:次の記事>>

コメント

今回の新型インフルワクチン騒動もワクチンギャップの国である日本特有の現象であると思っております。タイムリーな良い記事をありがとうございました。

お子様がヘモフィルス・インフルエンザ菌(Hib)による髄膜炎に罹患した親御さんから、このように真摯なキャンペーンが始まったことに、医療者として忸怩たるものがあります。他方では、医療者の中に反ワクチン論者がいて声が大きいことを考えると、医療者以外からこのような議論を興していただくほうが効果的とも言え、まことに複雑な気持です。
  専門家集団として、医師会や諸学会が、国民の健康を守るために発言することがあまりにも少なかったことは猛省せねばなりません。
  「ワクチン接種を勧めるのは儲かるから?」という意見がありましたが、個人的には、「今までワクチン推進に熱心でなかったのは、予防されてしまうと病人が減って儲からなくなるから?」と勘ぐるならまだしも理解できる、と思っています。ワクチン打ったら千円の儲けでも、病気にかかった患者を診るほうがはるかに儲かるのですからね(初診料、処方料、2回は受診するでしょうから、軽く数千円はいくでしょう)。
  実際、小児科医が低報酬で数も減り続けているのも、ワクチンのせいだという「風が吹けば桶屋が儲かる」式因果関係の仮説が成り立つのです。感染症がワクチンの恩恵で激減し、小児医療費そのものが減っています(すなわち小児科医の収入減)。また、子供が感染症で簡単に死んでいた時代を知らない世代が、子供は皆元気に育つもの、と、一人か二人しか子供を産まなくなったために少子化時代に突入、小児科医の需要そのものが減っていること、さらに、子供の死を受け入れられない親が訴訟するようになったこと、などがすべてないまぜになって小児科医希望者の減少につながっています。突き詰めると「予防医学が普及して国民には大きな恩恵だったのに、結果として、医師が割を食うことになった」ことになります。実際、肺炎球菌ワクチンが子供たちに普及すると、中耳炎が激減するので耳鼻科は死活問題、と冗談半分本気半分の声が上がったそうですから(これはあくまでも個人的に間接的に聞いたことで、信じたくありません)。
でも99.9%の医師は、自分たちが損してでも、病気は減らしたい、と熱望しています。小児科医も、子供の死に立ち会う機会が激減したことをとても嬉しく思っており、相対的に小児科医の地位が下がってしまったこと(ワクチンはそのうちナース・プラクティショナーの仕事になるでしょう)も甘受しています。重症感染症を診たら儲かるが、それをワクチンで予防しようとする、それが医師のプロフェッショナリズムです。職人なんですね、基本的に。すぐ壊れる物を造ったほうが儲かるけれど、100年持つ物を造りたいのが職人気質。それが誇りなんです。市場原理?何のことでしょう?
もっともっとワクチンを普及させましょう。日本をワクチン先進国に(せめて標準国に)!!

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。