インフルエンザに効く漢方薬 逆ザヤで供給不安説 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年11月01日 21:58

 インフルエンザの解熱までの期間がタミフルより短いという研究もある漢方薬の麻黄湯に供給不安説が出ている。薬価が安すぎてメーカーが売れば売るほど損をするうえに、原料が生薬(植物)で生産量が限られているためだ。専門の医師からは「こんな大事な時に使えないなんて。薬価の仕組みを根本的に変えないと国民の利益を損ねる」との声が上がっている。(川口恭)

続きはこちら

<<前の記事:ワクチンの安全性も気になるけれど・・・    いまさら改めて書くまでもないのですが・・・。:次の記事>>

コメント

> インフルエンザの解熱までの期間がタミフルより短いという研究も
> ある漢方薬の麻黄湯に

そうなのですか。非常に興味があるのですが、その研究内容を教えてくださいませんか?どこに発表された論文なのでしょう。うまく検索できなくて、拾えませんでした。

>どこに発表された論文なのでしょう。

下のブログによると、主に「漢方と免疫・アレルギー」誌のようです。
http://orthomolecular.blog.so-net.ne.jp/2007-03-30-1

 サイトカイン云々…という記載があり、別研究ではないかと思います。

UMIN試験ID:UMIN000001653
試験名:インフルエンザに対する麻黄湯の有効性、安全性に関する無作為非盲検並行群間比較研究
登録日(=情報公開日):2009/01/23
https://center.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000001994&language=J

 こちらは昨シーズンの研究ですが、サイトカインの定量をしている様子です。ただし、いまのところmedlineでは該当する研究についての論文はヒットしません。

 ご指摘のの研究のものと思しき論文はヒットします。

Phytomedicine. 2007 Feb;14(2-3):96-101. Epub 2006 Dec 1.
Antipyretic effect of Mao-to, a Japanese herbal medicine, for treatment of type A influenza infection in children.

Kubo T, Nishimura H.

Department of Pediatrics, Self Defense Force Sendai Hospital, Minaminometate 1-1, Miyaginoku, Sendai, Miyagi, Japan.

 川口さん、この種の話では情報源の公開が非常に重要です。是非、ご紹介下さい。

この記事は、昨今のインフルエンザ流行を舞台として、薬剤行政や薬価設定の問題点を指摘することを主旨としている思いますので、薬や臨床研究の問題点を挙げるのは筋違いかもしれません。

Slummy、中村両氏のご紹介のサイトや文献を流しよみした程度の私の理解では、抗ウイルス作用を解熱までの期間で比較するのは、いささか乱暴ではないかと思います。極端な例えですが、タミフルとアセトアミノフェンを解熱効果から比較して、「アセトアミノフェンの方が解熱が早期に得られたので、タミフルよりもインフルエンザの治療効果が高い」と結論づけているのと似ていると思いました。

また、ご紹介サイト中、

> (麻黄湯は)小児インフルエンザ感染の治療において、副作用もなく効果的であり,脳症予防の点からも小児においては有用な治療と考えられた。

とあるのは、元の論文を良く読んではいませんが、「脳症予防」を謳うのは勇み足かと。

> (麻黄湯は)小児インフルエンザ感染の治療において、副作用もなく効果的であり

麻黄湯ってエフェドリン入ってるでしょ?
「副作用もなく」なんて簡単に言い切っていいもんなんでしょうか?
結構利用が難しい薬だと思うのですが。

もし、本当に麻黄湯が「インフルエンザに効く漢方薬」だと思ってるんなら、臨床試験して効能追加すべきでしょう。
それもしないのに、薬価が安いと文句を言うのは違うと思うのですが。

http://intmed.exblog.jp/8307734/

麻黄湯、処方経験のある医師なら、その切れ味は知っているはずです。
心血管系の既往が無い、リスクも低い人に麻黄湯+葛根湯ダブル処方すると、一晩で解熱しますね。

一旦熱は上がりますが、そのあと発汗して解熱します。
解熱したら中止して構いません。

安易にアセトアミノフェンなど服用しないよう、患者さんによく説明しておく必要がありますが。

>心血管系の既往が無い、リスクも低い人に
ってことは心血管系の既往があったり、リスクがある人に処方すると、副作用の危険性があるってことですよね。
やっぱり「副作用もなく」ってのは勇み足ではないのですか?
薬効がある以上、副作用がないなんてことはないと思うのですが。
あと、麻黄湯って臨床試験やってるんでしたっけ?

タミフルの10代への投与時の異常行動は予測不可能です。

一方、麻黄湯の副作用は、リスクの高い人への投与を避けることによって、回避可能です。ですから、医師がきちんと処方すれば「副作用なく」治療可能です。

そういう意味では、臨床現場では「副作用なく」使える薬と認識しています。

ちなみに、漢方薬でもっとも副作用報告が多いのは葛根湯です。
麻黄が悪さしている可能性はありますが、処方量が多いことの裏返しです。
薬の成分をよく理解せず、単に「風邪薬」として処方されるからでしょう。

PL顆粒でも便秘したり尿閉おこしたりしますんでね。

>麻黄湯の副作用は、リスクの高い人への投与を避けることによって、回避可能です。
とおっしゃいますが、それを臨床試験で確かめましたか?
「臨床医」の感覚が当てにならないから、臨床試験で確かめなきゃならないんじゃないですか?
ちなみに「リスクの高い人への投与を避け」れば「副作用がない」いいんだったら、タミフルだっておんなじでしょう。
なんか、漢方推進派の人って臨床試験や副作用に対する感覚が甘すぎるんですよね。

高橋 晄正さんもたびたび批判してましたが。
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak281_285.html#zakkan282

 コメントを読ませていただき、皆様のご意見はごもっともではありますが、この問題は薬価の問題であって、漢方薬うんぬんではないと思います。

 いままで官僚は、初診料・再診料などの診療報酬本体を計上しているのだから、コストである薬価は原価を用いるという市場原理を考えない方針を採ってきました。
 さらに発売から時間の経過した薬は製造コストが下がるだろうという一方的な観測によって改訂毎に薬価が引き下げられる状態にあります。一時、チオペンタールなどの有効であるにもかかわらず安価すぎる薬が製造中止の憂き目にあい反対運動が起きたなどの事例があります。
 一向に普及しないジェネリックにおいても、一錠6.1円などという、これ以上値引きしようがない値段に設定せずに、先発品の値引きに負けない薬価を設定すれば普及は比較的簡単なのです(同等性試験が十分であることが前提ですが)。
 たとえば、薬価50円の薬が10%引きであるのと、薬価10円の薬が40%引きであるのとでは、どちらが利潤を出すことができるでしょうか。先発品の方が市場原理的に言ってもなお有利なのが現状なのです。

 厚労省は薬価調査とかいって数ヶ月に一度、問屋から卸される値引きを監視していますが、これをやめるべきなのです。薬価調査をやめれば、薬の納入価は下がり医療機関に利潤が出ます。病院に利潤が出れば勤務医の待遇改善も速効性があるものになるはずです。
 初診料・再診料は医師の給与ではありません。この中に看護師やコメディカル・事務員の給与、家賃などの設備投資まで含みます。これが満足な値を設定できないのであれば、薬価差益を認めるべきなのです。

 医療改革の最も有効かつ簡単な方法

厚労省が「価格調査を4年中止する」と発表することです。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。