文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

行政監視委員会

 鈴木議員「卒後臨床研修のアンバランスが医師不足の原因と認識しているためにこのような話が出てくると思う。しかし、ないパイの中でどうやりくりしても足りないところは出てくる。(中略)問題は研修医だけなのか。たとえば女医さんの問題。産婦人科などでは卒後10年経つと女医さんが臨床現場から離れてしまうという現状がある。この状況を放置したままでは抜本的な解決にならないのでないか。(中略)今の方法論だと都会は足りているという前提でないと成り立たないが、都会だって医師は足らない。人口あたり医師数が一番少ないのは埼玉県で10万人あたり134人、その次が茨城県で10万人あたり150人、その次が千葉県。地方だけが足りないという政策論議や報道は明らかにミスリードしている」

 一般には意外と知られていない事実だが、まさか厚生労働省が知らないはずはあるまい。さらに鈴木議員は続ける。「短期的には、医師は人手不足が解消して休みが取れることを願っている。そのためには人手不足を解消できるよう、診療報酬で配慮してあげることが必要ではないか」

 これに対して初めて大臣ではなく保険局長が答弁に立つ。「診療報酬設定については、医師や病院団体の関係者らが参画する中医協の場で議論され決まるものであり、平成18年度改訂では医師偏在の議論を踏まえて産科・小児科や救急に手厚い評価を行ったところである」

 この答弁に対して面白いところから矢が飛んできた。少し話を進めよう。

 鈴木議員「この点に関しては、まだまだ足らない。さらに努力をお願いしたい。長期的には医学部定員を増やす必要があると思う。これは文部科学大臣の所管だが、報道によると自治医大方式の地方枠が検討されているそうだが」

 事務方が答えようとしたのを制して伊吹文部科学大臣が答弁に立ち「(医学部の地方枠については)新聞報道などで存じているだけで与党からまだ話はない。現在の医師不足に関して二つの大事な原因があると思う。今回の医師不足は新研修制度で人手が足りなくなった大学医局が大学院修了後の中堅を引き揚げたことに本質がある。研修制度をいったいどうするのか、大きな問題があると思う。それから、市場経済で動いているわけだから、子どもと新生児が減って医療需要が減っているわけだから、診療報酬の単価を上げて、その従事者のトータルの報酬を確保してあげないと、なり手が減っていくのは当たり前。対症療法的にふるさと枠を設けるだけでは解決しない。少し事柄を深めて議論していただく必要があるのでないか」

 明らかに厚生労働省を能無し扱いし、ツケを文部科学省に回すなとケンカを売った答弁であり、逆に言うと質問者である鈴木議員への共感を示したとも言える。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス