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新型インフル 参院予算委で"参考人隠し"

 25日の参議院予算委員会は開会が1時間遅れた。新型インフルエンザ対策を検証するため、委員が政府参考人として出席を求めた厚生労働省職員2人について、招致を認めるか否かで理事会が紛糾したためだ。結局、2人の招致は認められず、出席を求めていた委員は「通告済みの参考人が来ないというようなことは過去に記憶がない。(1時間待ちぼうけを食らった)4人の大臣よりも、厚生省には偉い人がいるということだ」と痛烈に皮肉った。(川口恭)

 委員は、民主党の鈴木寛氏。参考人として通告されていたのは、森兼啓太・国立感染症研究所主任研究官と木村盛世・検疫官。

 この日、これに関連して行われたやりとりの概要は以下の通り。

鈴木
「開会が1時間遅れた理由を委員長から説明いただきたい」

溝手顕正委員長(自民)
「2人の政府参考人の招致について理事会の意見がまとまらなかったため。筆頭理事による協議の結果、両人については別途機会を設けて招致することとした」

鈴木
「委員長の裁定なので従う。しかし非常に遺憾だ。国会議員が通告を行ってペーパーにまで刷られた人、そのような人が国会に来ないというようなことが、かつてあったか。しかも森兼さんに関しては本人は来たいと言い、上司の了解も内々に得ていた。それなのに4人の大臣がいらっしゃる会議の開会を1時間遅らせて、厚生省(ママ)の横暴によって開会が遅れた。これは4人の大臣よりも厚生省(ママ)の官僚の方が偉いということであり、官僚内閣制の実態を示す最たるものだ。(略)付け加えるならば森兼氏については大臣のアドバイザーで、2人の招致については、舛添大臣の秘書官からも了解をいただいていた。大臣の秘書官より偉い人が厚生省にいた。(略)検疫について後づけで良いとも悪いとも申すつもりはなかったが、あらゆる可能性を想定して常に毎日点検・改善することが必要だろう。採用するしないは別にして、国の方針に異を唱える専門家たちの意見やWHOの方針などをどの程度把握していたのか」

舛添要一・厚生労働大臣
「色々な専門家の意見を聴くのはいかがなものかというメディアもある。現在は、自治医大の尾身教授をヘッドとする委員会の方針に従って動いている。万が一、委員会が間違っていたら日本全体が誤ることになるので、セカンドオピニオン、サードオピニオンも聞いておこうということだ。検疫が全く無意味とは思わないが、しかし限られた人的リソースをどこでどういう段階でスライドするかは非常に難しい。一番の盲点だったのは、水際対策を一所懸命やりながら『入ってくるのは時間の問題』と言い続けてきたわけだが、『既に入っているかもしれない』と言っておかなければならなかったかなと思う」

鈴木
木村盛世氏は、共同通信や朝日新聞でハッキリ方針に異を唱えている。この意見をどのように把握し、どのように扱われたのか」

上田博三・健康局長
「新聞情報だけなので直接本人から聴いたわけではない」

鈴木
「本人から直接聴かないのか」

上田
「必要とあれば、それも検討する」

鈴木
「なぜ必要ないのか。その根拠を示してほしい」

上田
「私どもが呼ぶと、上司なので。もう少し公平な形で呼べるなら考えたい」

鈴木
「ダブルメッセージになっているから整理したらどうかと申し上げている」

上田
「公平な観点で職制に関わらない形で聴いてみたい」

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