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ニュース〜医療の今がわかる

これ以上 千葉を崩壊させない


――お金が必要ですね。

そうですね。政治を動かす必要があると考えています。以前は自治体が病院を持っていると交付金をもらえて、それなりに財政的にも助かっていたと思うのです。でも、診療報酬引き下げに続いて交付金ももらえなくなって、そうなると病院の赤字がケシカランと言い出す政治家が多くて困ります。とにかく政治家に二世かタレントしかいなくて、口先はともかく国全体のことを考えている人がいませんよね。

それとマスコミ。自分たちで物を考えず、どこの誰が言ったのか本当かも分からない情報を垂れ流して医療崩壊を招いた戦犯だと思います。ただ、そうは言っても彼らの力は大きいのです。福島県立大野病院事件にしても、草の根の運動、ネットでの盛り上がりの後に大マスコミが続いたから、無罪判決が出たと思います。彼らは権威主義的で、草の根から始める場合には興味を持たせるようにしないといけないので、上手に巻き込んでいきたいと考えています。

ただ、どうしても納得いかないのが、これは特定の人の利害ではなく全国民の利害に関連する問題ですよね。そもそも人類始まって以来、これだけ長寿の社会になったことなんかないんです。医療とか年金とかの制度は、定年後5年で死ぬという前提で作られてきたものですから、定年後20年間負担したくありませんけど社会で面倒みて下さいでやっていけるはずありません。制度を作り直さないといけないのは分かり切っているのに、どうしてマスコミの人たちはキャンペーンを張ったりしないんでしょうか。自分たちの仕事が何かを忘れているんじゃないかと思います。

――マスコミにとって、霞が関は大事なネタ元ですから、一緒に構造が硬直化してしまったというのはあるんでしょうね。

霞が関の構造が限界なんだと思いますよね。別に彼らが悪人とは思いませんけれど、思いつきのような通知を出すと、皆が一斉に従う。しかも責任を取らなくてもいい。一度味を覚えたら、止められないでしょう。

――政治家、行政、マスコミに伝えていくんだというお話で、まず13日にシンポジウムがあります。どのような仕掛けをしましたか。

主だった方々には案内状を出します。彼らが何に関心を持っているかによりますので、来てくれるかどうかは分かりません。まずは、その模様をネットメディアなどで報じてもらうことで、後日じわじわと効いてくるというのもあるのではないですか。

シンポジウムの演者である小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長には、日本の医療崩壊の現状を話してほしいと頼みました。千葉の政治家や行政の人たちは、地域だけを一生懸命見て地域だけで努力しても病院は守れないことを知らないと思います。銚子がいい例ですが、みんな病院を守ろうと頑張ったんですよ。でも結局、地域レベルではどうにもならないことだった。だったら県や国を変えようと考えてもいいはずですが、まだそう発想が向かないところが今の限界なんでしょう。まず政治家に、日本全体の状況を知ってもらおうと思います。

もう1人の演者の亀田信介・亀田総合病院院長には、医療崩壊の処方箋があるかを聞くつもりです。私はあると思っている。チームが崩壊する前に救出することです。安房医師会病院は、亀田に救われて間に合いました。間に合わなかった銚子との違いは何だったのか聞きたいと思っています。

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