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銚子市民はリスクを分かっているのか 医療構想千葉発足

DSC_0320.JPG 医療崩壊の危機に瀕している千葉県の現場から、医療再生への提言をしていこうというネットワーク的シンクタンク『医療構想・千葉』(代表・竜崇正前千葉県がんセンター長)の設立記念シンポジウムが13日、市長選投票前日の千葉市で開かれた。多彩な顔ぶれが集まり、オピニオンリーダーたちから「敵は日本医師会だ」、「千葉大病院がなければ千葉はよくなる」などと過激な意見が発せられた。(川口恭)

 会場は135席あったがほぼ満員だった。発起人である増山茂・了徳寺大学学長によると参加者は全部で132人。属性は

県会議員・市会議員・地方政治関係者あわせて20名弱(共産党を除く与野党全部)、中核病院関係者20名ほど、企業医療や地域医療関係者も20名弱、自治体関係者20名弱、患者団体など20名弱、看護師などコメディカル関係者、製薬会社関係者、法律関係者、学生(ボランティアを含む)10名ほど、出版関係者、厚生労働省医系技官、県医師会理事
だったという。

 小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長が『この国に起きている医療崩壊の次のステップは何か?』、亀田信介・亀田総合病院院長が『千葉県の医療崩壊 その処方箋は?』とそれぞれ題して30分ほどずつ講演した後で会場との質疑応答になった。

 講演そのものも興味深かったが、これは別に機会があればご紹介することとして、ここでは質疑応答の主なやりとりを記す。

〔会場〕
 香取市に住んでいる。我々の地域は不名誉なことに医療崩壊の先進地になってしまっている。銚子が閉鎖されて患者が旭中央へ押し寄せ、勤務医が本当に疲弊している。このままでは成田まで含め地域の病院が全部撤退してしまうのでないかとすら言われている。そこで亀田先生に伺いたい。先ほど、旭中央病院が社会医療法人になろうとしたのを議会が否決したと批判されたが、地元の人間からすると、公的な病院が非公務員型になると不採算部門をやらなくなるんでないかという誤解があったようだ。それから、銚子市立総合病院を民間団体に委託して再開しようとしているのだけれど、どのようにすれば再開が可能だと思うかお聞かせ願いたい。

〔亀田〕
 旭中央は本当に忙しくやっている。医師たちも限界まで働いている。それでも実質的には赤字。12億円の補助が入って最終的に3億円の黒字になっているわけだから、亀田と同じ民間になれば9億円の赤字だ。亀田の年間予算が370億円から380億円ぐらい。旭中央ぐらいの規模の病院がおかしくなれば、平気で月に数億円の赤字は出てくる。その時に旭市くらいの財政規模で持ちこたえられるか、そこを考えてほしい。
 
 で、不採算部門をしなくなるんじゃないかという話だが、公的病院がお金を払わない人たちをヘリでどんどん亀田に送り込んでくる。小児だけで毎年2億円の赤字だし、未払い金も毎年8千万円くらいある。ウチ位、公的医療をやっているところが他にあるか。それは設立主体の問題ではなく、病院の志の問題だ。今の旭のメンバーが運営する限り、不採算部門から撤退なんかするはずがない。ただし現に働いている人たちは非公務員型になることに激しく反対するのは間違いないので、そんなに甘い話ではない。いかに現状が危ないかを理解してもらうしかない。

 銚子は、地域医療振興財団がやるということだが、彼らは基本的にリスクを負わないはず。病院としてすぐに再開するのは不可能。それはコメディカルスタッフが全員辞めてしまっているから。そのうえで医師数人の外来からということは可能だろう。しかし、徐々に大きくするということを考えているなら、今と同じように赤字を出すことになる。その負債を抱えると分かったうえで市民が支えていくのでないと再開は不可能だろう。市からの負担は相当のものになると予測される。

〔小松〕
 自治体病院のことに詳しい伊関友伸さんという知人がいる。彼と意見の一致したことがある。自治体病院は、どんなに頑張っても自分たちだけで自立することはできない。首長と議員の資質に依存する。地方議員の中には、病院をシマだと見なして毎日出勤するようなのがいるという。しかも、その議員が病院の納入業者。こんなのでは絶対にやっていけるはずがない。

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