自民幹事長「医療費抑制は無理。税でしっかり」
自民党の細田博之幹事長は10日、「小泉政権で三方一両損みたいなことをやって医療費を抑制しようとしたけど、残念ながらうまくいかなかった。日本では医療費が増えても仕方ない。逆に税負担でしっかりやらざるを得ない」と述べた。全国知事会会長を務めたこともある梶原拓・元岐阜県知事が「マニフェストに医療改革を盛り込んでほしい」と党本部を訪れて要請したのに対して答えた。(川口恭)
この日の梶原氏は、健康医療市民会議の代表という立場。6月2日に大竹美喜・医療改革懇談会座長(アフラック名誉会長)、加藤秀樹・構想日本代表と連名で発表した『抜本的医療改革断行の提言』なるものを手渡すため、自民党本部を訪れたものだった。これに、木戸寛孝・医療志民の会共同事務局長や小児科医の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さん、医師のキャリアパスを考える会の森田知宏代表、患者家族の冨栄美穂子さんらが同行した。
岐阜県知事を4期16年務めた梶原氏は、元建設官僚であり、在任中は積極的に公共事業を誘致し行ったことでも知られる。一方で、03年に前立腺がんの放射線治療を受けたこともあって、医療への関心を高めたという。典型的な土建型知事として知られた梶原氏がこのような行動を取ったことと、それに対して細田幹事長が大変に踏み込んだ応答をしたことは、時代の変化を象徴しているともいえそうだ。ちなみに細田氏は島根県選出の代議士である。
提言の中身が分からないと若干以下のやりとりの意味がとりづらいと思うので、まず上のリンクから提言を読んでいただき、その後に以降を読んでいただけると幸いだ。主なやりとりは以下の通り。
【細田】
国民医療費の話ですね。分かりました。
革命的な話として、老人医療費の問題で民主党が元の制度に戻せばいいと言っている。でも岐阜でも同じだと思うけれど、制度を元に戻したら崩壊しちゃう。せっかく都道府県単位にまとめたのに市町村単位に戻したら過疎の高齢化の進んだところはやっていけない。それを元に戻せなんて言うのは無責任じゃないかと民主党に反論しているところだ。皆さんの提言が解決策になるのか関心がある。
【梶原】
うちの女房も保険料が上がったと言っている。庶民感情としては搾取されているような疎外されているような感覚があるのでないか。
【細田】
たしかに所得のある人の扶養だったりすると上がる。上がった人が25%いて、でもそれはほとんど都会の所得のある人。75%の人は下がっている。島根なんかみんな下がっている。
【梶原】
下がった人は文句を言わない。