銚子市民はリスクを分かっているのか 医療構想千葉発足
〔増山〕
銚子を引き受ける団体は公的な大学の天下り組織と感じられる。また新たなお金の迂回路ではないのか。
〔亀田〕
あそこのことをよく知っているわけではない。自治医大OBの方々がやっているというぐらい。それよりは移管の仕方が問題だろう。安房医師会病院は負債も含めて全責任を負う形で受けた。しかし今回の銚子はオペレーション委託だと思う。赤字は市が負うことになるだろう。そうであれば、前と同じで市のリスクは変わらないと思う。
〔増山〕
亀田先生は3つの抜本的な改革と言われたが、これは供給側の話。需要側の問題もあるのでないか。患者教育についてはいかがお考えか。
〔亀田〕
教育とかもあるが、基本は情報共有だと思っている。適正な評価、患者様からの評価が医療機関の淘汰になることが必要だろう。医療者側のやり方を左右するのは診療報酬。その財源論になると、患者様の考え方をかなり左右するだろう。今は財政基盤の弱い保険組合をつぶして統合するようなことをやっているけれど、合併して壷が大きくなればなるほど自分1人ぐらい使ってもいいかという考えが出てきてしまう。ドクターショッピングして、とにかくいい医療を受けたい、と。これは人情だ。そこが自分のポケットマネーに直接紐づけば変わってくるだろう。強制貯蓄のシンガポール型は極端にしても、お互いに緊張関係をもって評価しあう仕組みになれば、もっとよいパートナーシップをつくっていけるのではないか。
〔竜〕
小松さん、あなたの主張の中に出てくる患者理解支援制度とは、この話に関係するものか。
〔小松〕
基本的には透明性を高めるということ。通常時から、医療の限界や不確実性まで含めて説明し、トラブルがあった時の説明も徹底的に行う。昔は何か起こった時に責任追及になってしまったが、今はシステムをどうするかという話にすべきだという流れになってきている。そういうことを患者さん側にもできる限り説明する。何か起きてしまった時は、患者さん側で受け入れられるようになるまで感情的に時間がかかる。そこまでの時間できちんと感情にも対応しないと、その後で大いにこじれて角突き合わせることになってしまう。と同時に病院側でもきちんと検証と説明を行う。できないなら第三者で。その際には、処罰と関連づけないことが大切。そういったものの組み合わせのことだ。