文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

診療所と病院の配分見直しの議論、ようやく開始 ─ 7月8日の中医協

■ 「救急・周産期・小児医療」について
 

[遠藤委員長(中医協会長)]
 では、救急・周産期・小児医療に関して、ご意見などあればご自由に。竹嶋委員、どうぞ。

[竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)]
 詳細な資料をご提示いただき、感謝申し上げる。中医協の中での議論に合うか分からないが、やはりこの救急医療、小児科、産科も含めて、これは、国の政策医療という分野で「大きく」とらえていかなければいけないと、基本的に私は考える。

 それで、いくつか資料の中で考えつつ、お尋ねしたいし、意見も述べたい。

 (中略。この後、約5分間にわたり救急・周産期・小児医療の充実を訴える)

[遠藤委員長(中医協会長)]
 (竹嶋委員は、診療報酬改定の基本方針を決める)社会保障審議会の委員でもあるので、ぜひ、そちらの方でもご議論いただきたい。

 (中略)

 西澤委員、どうぞ。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)] 
 救急・周産期・小児、今日は医政局指導課の三浦公嗣課長が説明してくださり、本当に大事なことだと思う。まさしく、「医療崩壊」が表れているのがこういうところではないか。これは国を挙げて何とかしなくてはならない。

 一方、診療報酬でどこを見るかということもあるが、その前に、やはりほかの政策やほかの財源など、総合的な議論をどこかでしなくてはならない。その中で診療報酬の役割を明らかにすべきだと思っている。

 やはり、救急に関して言えば、3次救急や救命救急センターが大事なので、診療報酬改定でも今までの政策でもそちらに力を入れてきた。
 そこで何が起きたかというと、そこにドクターが集中されることによって、逆に他のところから吸い上げられた。それで2次救急あるいは初期救急が疎かになったということがあると思う。

 そういうところが疎かになるから、本来は初期や2次でいいものが救命救急センターまで行ってしまう、そっちが疲弊してしまうということもあるのではないか。救急をとらえたとき、やはりより高度なところばかりに目が行きがちだが、すべての段階をバランス良く見て、それに対応していくことがすごく大事ではないかと思う。

 中医協なので、診療報酬でいえばやはり救急にはもっと大きく金を付けるべきだと思っている。当然、三次や救命救急センターには付けるべきだが、もっと2次あるいは初期にも付けないと駄目だということ。はっきり言えば、病院の救急、あるいは入院医療に大幅に付けないと、ここは全部解決しないと思っている。

 なので、今の「救急」という言葉を「周産期」あるいは「小児」と置き換えても全く同じだと思っている。そういうことで、今後議論を進めていただければと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 今後の議論の中でまたご発言いただきたいので、よろしくお願いいたします。藤原委員、どうぞ。

[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
 救急の財源の話になるが、救急をすべて診療報酬で見るのか、あるいはもっと他の補助金であるとか、国や都道府県の対策などを絡み合わせながら見ていくのか、そこのところが、これを考えていく上で重要な視点になると思う。

 診療報酬で全部、救急医療を見ようとするとかなり無理があるような気もするが、その辺の......、ま、これも(平成22年度診療報酬改定の)「基本的な考え方」になると思うが、どうとらえたらいいのか。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 これは補助金事業として、本日(医政局から)説明があったので、救急に関する補助金事業等で説明いただくことが追加であればお願いしたい。簡潔で結構なので。

[医政局指導課・三浦公嗣課長]
 お手元の資料の3枚目のスライドになるが、医療提供体制の構築のためには一定の補助金が必要だということはあるんだろうと思うが、それに加えて、やはり不採算の部分を支えているということが補助金の実態としてあるということはご理解いただきたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。そういうことで、(救急・周産期・小児医療は)補助金の対象には当然なるということ。藤原委員、どうぞ。

[藤原委員(日医)]
 ということは、診療報酬でここ(救急医療)に根付けていくと、非常に診療報酬体系がいびつになるということが考えられるので、そこのところは総合的な視点が必要だと思う。それを忘れないでというか、もっと、ここ(中医協)だけの議論でいいのかどうかをさらに検討していただきたいと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい。対馬委員、どうぞ。

[対馬忠明委員(健保連専務理事)]
 産科・小児科を含めた「救急」だが、私どもは皆さんから保険料を預かっているが、最終的にはこういった給付がなされ、本当に必要な人が必要な給付を受けられるというところで、はじめて医療が完結するから、やはり非常に重要なところだと認識している。

 で、2、3質問。意見も若干はいるが、1つは今の3ページ目(救急医療等の予算補助事業)のところ。医政局指導課・三浦公嗣課長から回答があって、それは分かるが、丸2つ目のところ。「診療報酬でまかないきれない不採算部分等について、予算補助事業を実施」と、こう言い切ってしまうと、「それじゃ、診療報酬でまかない切れればいらないのか」とか、「逆に診療報酬で足りないときには予算補助が必要なのか」ということになる。

 やはり基本的には役割なり機能の分担関係があって、「ただ実態的に見れば......」ということではないかと思うので、そこの見解をお聞きしたいというのが1点。

 それから、7ページ(救急医療等に係る課題と必要と考えられる評価)。上のところ(救急医療等に係る課題)は確かにそういうことだろうと思う。その下のところ(必要と考えられる評価)がよく分からない。必要と考えられる評価(円滑な搬送、受入体制、救急医療機関への支援、救急医療を担う医師の勤務環境の改善など)は、今現在、こういった厳しい状況にある中では、こういったことをぜひやるべきだと、評価すべきだと。

 ないしは新たな項目を付けるべきだ、と、こういうことを言ってみると、今回の22年度改定、ないしはもっと先の改定も含めて、「こうすべきだ」と言っているのか、それとも、(資料の配置が)下(評価)から上(課題)に来ているから、そうではなくて、こういった状況の中で、われわれとしてはこれまでもやってきたし、一般的、普遍的な意味合いで、一般論としてこういったことが必要なんだと、こういう意味合いで言っているのか、そこがちょっとよく分からない。

 特に、もし22年度改定、それ以降の改定も含めてということであれば、後ろに「今後の課題」というのがある。そことの関係がよく分からないのが2点目。

 あと3点目。多少意見も入るが、スライド番号21(母体及び新生児の搬送受入れ、「NICU満床」と回答した総合周産期母子医療センターは9割超)について。

 これでは、とても私ども、被保険者に対して「安心してください」と、「われわれが支えていますから」となかなか言いにくい状況だと思う。原因は恐らく1つではなく、さまざまな原因があるのだろうが、見通しの問題として、最近は高齢者の出産が多いとか、低出生(体重)児の割合などが恐らく関連しているのだろうが、そういったことをよく見きれなかったことが1つ(原因として)あるのだろうか。
 2つ目として、診療報酬、われわれとしても随分、ここ3回ぐらいの改定は、いの一番に、平成16年度改定でも、小児・産科・救急、特にハイケアユニットの議論をしたし、平成18年度改定も、小児・救急・産科、これも随分、全体のバランスの中では付けたつもりだし、平成20年度改定も、ご承知の通り、小児・産科・救急に、「勤務医対策」ということで、随分対処してきたが、それでもやはり基本的に、不足だったと......。
 また、先ほどの話とも絡むが、国の助成策としてもかなり不足していたと、そのあたりが影響しているということがあるのかどうか。

 3点目だが、全体的な若い人というか、教育の問題、大学教育等々も含めてだが、俗に言う「3K」、「きつい、汚い、危険」といった、そういったところの影響なのかどうか。こういったことがいろいろ総合してそうなっている......。特に私どもの関心事としては、中医協として、診療報酬、随分ここ数年来、いの一番に付けてきたけれども、やはりそれでは不足だった、こういったことが影響しているのか、そのあたりはどうか。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 それでは三浦課長、大きく3点の質問だったと思う。よろしくお願いいたします。

[医政局指導課・三浦公嗣課長]
 今の3ページ目(救急医療等の予算補助事業)の2つ目の丸のところ。「診療報酬でまかないきれない不採算部分等ついて」のお尋ね。

 例えば、3次救急、救命救急センター運営費の補助についてはそれぞれの施設の救命救急センターの運営状況をいただき、そして生じている赤字を一定程度埋める、こういう形での助成を行っているので、そういう意味では不採算部門を埋めている部分がある。

 それから7ページ目。「救急医療等に係る課題と必要と考えられる評価」について。私ども考えるに、上の「課題」があり、それに対応するためには下の「必要と考えられる評価」。これは、すべてがすべて、診療報酬によって行われる部分ではないだろうとは思うが、その中でも診療報酬の側面で対応いただけるというようなものがあれば、それはそれとして......、ま、......ということだが、ま、いずれにせよ、評価として、こういうものをさらに対応していく必要があるのではないかということ。

 また、今後の課題との関係はさまざまな検討会で議論されているので、それを集約すると、大体こういう分野にある程度高まってくると、こういうもの。このページは現在の我が国の置かれている救急の問題を集約すると、この1枚に......、かなり荒っぽいものではあるが、こうなっているというもの。

 それから、NICUが満床の理由だが、これは上の「課題」をご覧いただくと、「周産期」というのが枠で囲んであって、右に記述がある。つまり、周産期、NICUの不足を考えるとき、救急医療の需要の増加という中では、先ほど高齢出産の話が出たが、低出生体重児の増加があるということ。

 それから、救急患者の受け入れ体制の不足ということでは、分娩施設が足りない、NICUの不足ということも、自分で自分のことを言っているので、ここは足りないかもしれないが、産科や小児科医の不足があるということ。また、出口の問題に関連しては、後方病床。
 これは回復期の治療をする一般(小児)病床等の不足と書いてあるが、このほか、重度心身障害児の施設の不足あるいはそこに対応するための体制の不足、こういうものがあって、全体として出口が細くなっている。それがゆえにNICUの中に多くの患者さんがそこにおられると、こういうような状況が生じているということ。以上。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。対馬委員、何かございますか。はい、それではまた今後の議論ということで。ほかにございますか。はい、藤原委員、どうぞ。

[藤原委員(日医)]
 今の「出口」の問題は非常に大きな問題で、あるデータによると、救急搬送の17%......。後方病院との連携がうまくいっていない部分があると思うので、そこの体制をしっかり構築していくべきだろう。どういう点数の付け方をするのか、まだ分からないが、そこの認識が必要だということを強調しておきたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ご意見として承っておく。北村委員、どうぞ。

[北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)]
 救急医療の体制の補正予算などで各種の運営整備がなされていることは大変評価できることだろうと思うが、あくまでこれは補助事業なので、まず事業を病院経営の中で組み立てて、補助事業の対象の事業に組み立てなければいけない。

 だから大変、3分の2の部分の財政基盤のご苦労があろうかと思うが、そういう中で、やはり、その辺が成り立たないと、恐らく補助事業はスタートできないだろうから、これからの議論の中でぜひ、私どもの立場から見ても予算措置と診療報酬と、その役割分担というか、その辺の議論をこれからさせていただきたいと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 補助金と診療報酬は、性格がかなり違うので非常にその辺のところが分からないと、診療報酬を合理的に付けられないということもあるので、そういう情報も必要だということだと思うので、全くその通りだと思う。

 ほかにも意見あると思うが、かなり時間オーバーしているので、本日はまだ基本診療料の話には踏み込めなかったが、非常に詳細なデータを頂いて問題意識については共有できたのではないかと思う。

 従って、今後はこれらの報告や皆さんのご意見を踏まえ、診療報酬の改定に進めていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。指導課長、ありがとうございました。(以下略)

 


 (この記事へのコメントはこちら

 1  |  2  | 3
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス