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「出来高払いの一般病棟、療養病床より検査が多い」-中医協分科会で武久慢性期協会会長

[猪口雄二委員(医療法人財団寿康会理事長、全日本病院協会副会長)]
在院期間.JPG13:1、15:1の(在院日数が)90日を超えている人が17%、20%(左の表を参照)で、あとは(在院日数が)30日以内が過半数もしくは半数近くある。ある意味急性期に近い医療をやりながら一部分が慢性化していって90日を超えている、という風に私には読める。そうするとたまたま90日超の2割を抜き出すと、医療療養病床に似てくる。これはもうやむを得ない話であって。ただ病院の質としては、80%はそうではない急性期への対応をしているというふうに考えられるので、ここは似て非なるものというよりは、性質の違う病院であって医療療養は長期(入院)に特化しているということで、明らかに病院の質が違うんじゃないかなと、やっている医療が違うんじゃないかなと、いうふうに見れます。

[池上分科会長]
他にご意見ございますか。今のご意見は、2割に着目すれば医療療養に似ているけど、8割に着目すれば違うと、急性期の病院であると。

[武久委員]
一般病床は、多くは急性期病床であるということは当然のこと。問題は20%がトータルボリュームとすると何万人にもなるということであって、その辺のこの20%部分が医療療養病床の患者さんと変わらないということが問題でないか、ということを言っている。8割が「90日以内」で回るのは当たり前。本来は猪口員が言う、本来だったら医療療養病床に行くべきなのに「特定除外」という制度があるからこの20%で残っている、というのが制度上の欠陥じゃないかと言っているわけです。

[猪口委員]
あまりそんな言い合いをするつもりはないんですが(笑)、それを言い出すと、医療療養病床にも医療区分1で介護療養に行っていい人がいっぱいいる。介護施設に行くべき人が2、3割残っているわけですから。やっぱり患者さんというのは施設がどこもいっぱいで流れなければ、結果としてこうなるわけで、そこを「おかしい」と言ってもこれは始まらない。全体の施設ごとの連携がもっと進めばいいということであって、13:1、15:1の「90日超」が悪いということではない。全体の患者さんの適した流れがまだまだ出来上がってないと考えるべきではないのでしょうか。

[武久委員]
言い合いするつもりはないんだけど(笑)。医療療養病床に行けば医療区分1は点数低いんだよね。介護行っても低い。一般でいると出来高で点数が高い。だから問題だと言ってるわけで、一般の13:1、15:1の中で慢性期の高齢者の中に「特定除外」の患者がいてはいけないとは一言も言っていない、ただしそれだったら診療報酬体系を、同じレベルの人であれば同じように対処する方がいいんではないかと言ってるだけです。

(中略)

[猪口委員]
回答率がすごく低いということと、病院数が30とか40ですから、あんまりここから結論を導き出すのは極めて危険だなと思いますね。先ほどから武久先生が言われている、慢性期でも一般病床に残っちゃっていると。医療療養でも介護が適しているのかもしれないけど、行く先がないから医療療養に残っていると。必ず現実的に(そういう患者が)いるんだと思うんですね。介護保険でも本当は医療の方が適しているのに特養に残っている人もいるはずなので、やっぱりそこはなかなか難しいかもしれないけども、またこの分科会でやれるものかどうかも分からないけど、そこは日本の医療と介護の実態を把握するための横断的な調査をやらないと、わずかなデータからものを言うのは危険だなという気がします。

(中略)

[池上分科会長]
確かにご回答いただいた病院は少ないんですが、これ(一般病棟のデータ)が初めて明らかにされたということであって、いろいろ努力しても、既に努力されたとしても、回収率はこの程度にとどまったと。さらに努力すれば上がる、というものではないと思うので、現状で把握できる限界としてはこういう現状であるという意見を加えて報告書に添えて、どのように中医協で判断されるかはお任せする。さらにこの(調査の)中で検査(の実施状況のデータ)についてはありますけど、薬剤についてはどうかとか、そういったことも追加的な分析を事実として出すと。他に何か、今日出された資料ですので追加すべき分析等ございましたら事務局におしゃっていただいて、次回報告して事実として報告させていただければと存じます。
(分科会長が会合を終了させようとする)

[武久委員]
その前に。この調査に協力していただいた病院は非常に評価できる。実を言うと、慢性期の一般病床の中で特定除外の患者さんがいると、私の病院にも現実にいます、すると非常に有利。はっきり言うと。そうすると一般病床の中で、特定除外の患者さんとして入院していただいた方がいいという現実があります。調査の項目を(病院側が)見た場合、「どうもその辺を少し調査しようとする意図があるな」と感じた病院はひょとすると協力していただけなかったのかなとも思いますけども、ここに協力していただいた方は非常に正直で出していただいたことを非常に評価したい。非常に細かいので時間がないとなさった病院もいろいろあると思います。数が少ないからといって全体を代表していないということにはならないと思う。

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