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ニュース〜医療の今がわかる

『患者の経済負担を考える』


 そこでフェニックスクラブという血液がんの患者会の中で慢性骨髄性白血病の方々が『CMLの会』というものを作って、『高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例』の対象としてくださいという署名活動を行った。

 この署名活動には実に8万6千人を超える方にご署名いただき、7月17日には舛添厚生労働大臣に直接手渡すことができた。行った方によると、段ボール10箱以上あって手分けして大臣室まで運んだそうだ。本当にありがとうございました。今のところ大臣が私たちの要望を受け入れてくれた様子はないが、今回の選挙では自民党も民主党も医療のことにかなり力を入れているようなので選挙後に期待したいと思う。

 今回の署名活動を通じて気づいたことがいくつかある。まず高額療養費の制度が周知されていないこと。実際、知らずに何年も実費で払っていた患者さんがいた。私の場合も病院や薬局では一言も説明されずに、健保組合から書類が郵送されてきて分かった。こんなものは健保組合から該当の人に送るということをルール化してもらえればいいのでないかと思う。

 また海外へ目を向けてみたら、実はイギリス、フランス、イタリア、韓国などでは患者負担がゼロだった。インドではグリベックのジェネリックが製造されているという。それでも途上国の人は果たして治療を受けられているのだろうかと気になる。

 なぜ慢性骨髄性白血病だけなのか、ほかの白血病はどうなんだと言われたこともあった。全くその通りだと思う。この間テレビでリウマチの新しい治療を受けたいんだけれどお金が高くてあきらめるという話を見た。私たちと全く同じ問題だと思う。高額療養費制度はありがたいんだけれど、それでも月に4万5千円は高いんじゃないか思う。

 それからグリベックでQOLが高いなら働いて稼げるだろうという人もいた。それもその通り。いろいろな意見があるなと思う。私たちに問われているのは、単に1個の病気の問題じゃなくて、高福祉高負担の国にしたいのかどうなのかというテーマが与えられたのかなと思っている。

 最後にもし良いアイデアがあったら教えてもらいたいことがある。一つは住宅ローンの問題。貸す方からするとリスクが高く見えるのだろうけれど、主治医が大丈夫だと一筆書いてもダメだったという。現状では病気を隠してローンを組むしかない。もう一つが就職。発症年齢が比較的高いので既に仕事に就いている人が多いとは思うのだけれど、しかしこれから就職という人や天職活動中という人もなる。病気を承知で雇ってくれる会社はないと思う。どうすればよいか何かよいアイデアがあれば教えてほしい」

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