大学病院の事故調査体制 初の全国調査
病院内で医療事故の疑われる事象が起きた際、全国80の大学病院がどのように対応しているのかを、全国医学部長病院長会議が初めてアンケート調査形式でまとめた。「もしとんでもない大学があったら勧告する」(嘉山孝正・大学病院の医療事故対策に関する委員会委員長)という調査だったが、回答から見る限り、事故の隠蔽を招くような規定・運用の不備はとりあえずなかった。嘉山委員長は「自律・自浄の第一歩ができた」と評価した。(川口恭)
このアンケート調査は、医学部長病院長会議が5月に全国の医学部長と病院長に対して「国民から信頼される医療事故調査を行なうよう」勧告した際、「近々実態を調査して公表する」としていたもの。
医療事故が起きたと考えられる場合に、どのように報告し何をするようになっているかの規定がないと答えた大学は1つもなかった。また、すべての大学が、調査の際には当事者から聴取をし調書にして本人に確認させている、と答えた。
ただ全国医学部長病院長会議で公表することに決まっている3b(永久に障害が残る)事故調査結果を必ず公表していると答えた大学は17に留まった。これに関して嘉山委員長は「残念ではあるが、患者家族の方から『公表しないでくれ』と言われたようなことがある大学とか、明らかに医療行為と関係ない転倒のような事象も含めると『必ずとは言えない』と解釈してしまった大学とかもあるのだと思う」と語った。
今後に関しては、「こうやって回答してきている以上、もし異なる運用がなされていた場合には、その大学に対して勧告を行なうことになる」と述べた。