大学病院は限界 1127中医協・嘉山委員発表
先月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)で嘉山孝正委員(山形大学医学部長)がこんなプレゼンテーションをしたそうだ。大学病院の実態が分かるという点と並んで、特定機能病院を独立行政法人化する前に気をつけておかないといけない点も見え、内閣府の検証チームと厚生労働省との間でつばぜり合いが行われているナショナルセンターの問題にも通じるものがあり、興味深いのでご紹介する。(川口恭)
中医協の場で特定機能病院の現状が当事者から話されたことがないので、現実を少し話をさせてもらう。特定機能病院はナショナルセンターと大学病院。大学では教育と研究と診療を行っている。ただし今日は診療についてのみ述べる。
たとえば教育だと我々は国家試験に合格させないといけない。これは私の大学の国家試験の成績。教育も毎日行っている。
研究も、たとえばこれはグローバルCOEというプログラム。昨年度は14の大学の研究が選ばれて大体15億から20億円。私も研究者の代表として遺伝子の研究をしている。こういうことをしながら医療もやっている。
私がこういう社会的な医療の問題の勉強を始めたのは、病院長の時。当時は病院長や医学部長というのは病院の経営なんかには一切携わっていなかった。ところが教室員がほとんど研究室に戻ってこなくなった。2004年ぐらいから。
これは恐らく週刊朝日が初めて「名医がどうした」とか書いた時。私は名医という言い方は大嫌い。そんなものいるわけがない。自然科学で100%の医療なんてできるはずがない。で、このころから医療経済とか社会機構の勉強をさせてもらった。
特定機能病院がどうなのかという話に戻すと、まずは日本の医療はどの程度のレベルなのか。私は脳外科の専門医なので、脳外科の手術であれば、国際学会では招待講演者となって手術のビデオを見せてというようなことを大体している。今年もボストンのハーバード大学で話してきた。
じゃあ、他の医療はどうなのか。足立政務官が新委員になった時の最初の中医協で「2000年」という話をされたが、その時には2000年のデータしかなかった。ご存じの通り、日本はヘルスレベルで1位、ディストリビューションというのは要するに北海道から沖縄まで提供されているものに差がないということでそれが3位、アクセスすぐ医者に診てもらえるというのが6位、それに関しては北海道から沖縄までちょっと差があるというので38位、それからお金もかかってない。オーバーオールではトップ。