政権交代、「チャンスを機に日本を良くする」 ─ 本田宏氏の講演
■ 全国各地が医師不足で医療が崩壊
国は、「医師不足だ」ということに対して、「偏在だ」と言ってきました。これ(スライド)は、右は北海道、左は沖縄のグラフで、確かに地域により人口当たり医師数に差はあります。
日本で一番、人口当たり医師数が少ないのは、私がいる埼玉県。それで私のモチベーションが落ちないということになっているわけですけども......(会場、爆笑)。東京、九州、四国、確かに医師が多い。これだけを見ると、偏在が問題。しかし、この裏には情報操作がありました。
(スライドを指しながら)日本の標準医師数、一番多い東京、京都はここ。このグラフは何でしょう。
(一番上の線は)OECD加盟国の人口当たり医師数。日本より高齢化社会が遅れているOECD加盟国の人口当たり医師数に、一番多い東京も京都も追い付いていない。これは偏在じゃないでしょ?
じぇったいちゅうぶちょくなんでちょ、みなちゃん? (会場、笑い) 幼稚園児でも分かるって言うんですよ、私は。 (会場、笑い)
その幼稚園児でも分かることが、分からなかったんですね、偉すぎる人は。という話です。それで、医師を増やさなかった。
ちなみに今の日本の医師は、日本の高齢化と経済大国並みに考えると、20万人不足しています。日本は既に26万人、医師がいます。26万人は高齢の医師も含めてですよ。国は20万人の不足を黙って、毎年3000人から4000人増えている(とした)。
皆さん、4000人ずつ増えて20万人に追い付くのは何年かかると思いますか? 今、心の中で「5年」と思う人はちょっと......、もう1回計算してもらいたいです(会場、笑い)。
50年かかります、50年。だから全国各地が医師不足で医療が崩壊しているわけですね。医師不足になると自治体病院がさらに赤字になる。医療が提供できませんから。
そうすると、その地域から病院がなくなる。病院がなくなった地域で皆さん、安心して暮らせると思いますか? 病院がなくなった地域に新しく家を建てる人がいますか? という話になるわけでございます。
【目次】
P2 → 現場が分からない霞ヶ関がどんどんルールを決めていく
P3 → 全国各地が医師不足で医療が崩壊
P4 → 新政権に期待したいのは、新しい雇用の創出
P5 → 医療崩壊を食い止めるのは、国民みんなの社会的責任
P6 → 政権交代がない民主主義は、民主主義ではない