政権交代、「チャンスを機に日本を良くする」 ─ 本田宏氏の講演
■ 政権交代がない民主主義は、民主主義ではない
アメリカで、「Vote For Change」って、ありましたよね。日本でも、2008年1月。高知にお邪魔した時(スライドに坂本龍馬像の写真)。なんとなく空が曇っていました。
今年、お邪魔したんです。すっきりと晴れ渡っていて、「なんか良いことがあるんじゃないかなー」って思っていました、7月ごろ。(スライドに、民主308議席の新聞記事)
政権交代が起きました。 (会場、笑い)
皆さん、私は特に民主党さんとか共産党さんとか野党を応援しているわけじゃないんです。政権交代がない民主主義は、民主主義ではないですから。それを知らない日本人が多いんです。
私は民主党の議員さんに講演するときも言うんです。「皆さんも長くやっていれば、今の与党と同じになるでしょ」と言うと、皆さんうなずきますからね。(会場、笑い)
本当ですよ。政権交代がない民主主義は、民主主義ではないんですよ。(会場から拍手) それも分からないというか、教えられていないんです、日本人は。これ、本当に困っているんです。
(スライドに、「明らめ(×諦め)が肝心」と書いてあるのを指して)日本人は諦めちゃう、すぐに。でも、私はこっちの「明らめ」って言っているんです。こっちの「諦め」は駄目。こっち(明らめ)。
物事の道理をちゃんと冷徹に分析すれば、今、何が問題でどうしたらいいかってことが分かるんですね。すぐに諦めちゃうわけ。庶民から市民にならないと。
ただ、お断りしておきますけど、今日いらっしゃっている方はかなり完全に「市民」なんですね。どちらかというと、芸能人が来る集まりとか、うまいラーメン屋に興味を持っている方、まだ多いじゃないですか、ぶっちゃけ。これをどうにか変えていかないと、市民に変えていかなくちゃいけないということが私の問題意識です。
ま、ちょっと......、あんまり面白くない講演で申し訳ありませんでしたけど、これからもよろしくお願いします。(会場から大きな拍手)
あの......、1つだけ、大事なこと、「医療現場の実情を言え」って言われたので。つい最近、こんなことがありました。ここからは真面目な話。私の患者さんです。東北地方のある地域から、老夫婦が息子さんの所に来たんですね、関東に住んでいる息子さん1人を頼って。
その息子さんが(老夫婦が)いらしてから、恐らく経済不況でしょうが、自殺されちゃった。息子さんの自宅は自殺なので保険かなんかでローンはなくなったみたいですけども、その旦那さんというか、おじいちゃんが胃がんで、うちの病院で手術をした。すると今度は、おばあちゃんしかいない。退院した後、どうする......。しかも、脳梗塞があっていろんな病気を持っている方、そういう方は本当に、現場では毎日のように目にしています。
やっぱり日本全体......、お釈迦様が2500年前におっしゃった人間の一番の苦しみ。これは四苦八苦の「苦」で、「生老病死」なんですよ。生まれて生きること、年をとること、病になること、死ぬこと。ちょっとお金があったって、四苦八苦の「四苦」に......、目前になれば人間、価値観が変わるはずですから。
ぜひ皆さんで、「この良いチャンスを機に日本を良くする」ということでご協力いただければありがたいと思います。どうも、ご静聴ありがとうございました。(会場から大きな拍手)
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【目次】
P2 → 現場が分からない霞ヶ関がどんどんルールを決めていく
P3 → 全国各地が医師不足で医療が崩壊
P4 → 新政権に期待したいのは、新しい雇用の創出
P5 → 医療崩壊を食い止めるのは、国民みんなの社会的責任
P6 → 政権交代がない民主主義は、民主主義ではない