情報の洪水 悪意か故意か 一つ一つ見極め必要 がんセンターシンポ
木村
「無能な人に辞めていただくしかない。でないと新しい人が入って来れない。医系技官には患者さん1人1人じゃなくて国民全体の健康を守りたいという公衆衛生的な気持ちを持って入ってくる人もいる。ところが今のトップの人は天下りと自分の幸せのことしか考えていない。そんなトップが居座っていたら、新しい人が入ってきても辞めてしまう。昔トイレの洗浄剤のCMであったように、臭い匂いは元から断たなきゃダメ」
足立
「自分がいなかった時に何を言われたのか分からないが(高畑氏の講演の最後ごろに到着)、いくつか言いたいことがある。ここにはメディアの関係者も大勢いるけれど、時間感覚が混乱されているのでないか。国民が今回の政権交代に期待した最大のものは医療をよくしてほしいということではない。無駄遣いをなくしてほしいということだ。今、補正予算の洗い直しをしているのも、まさにそれが最大のテーマだからだ。
そんな中で新型インフルエンザ対策も待ったなしだ。私が政務官に就任したのは19日、その段階で29日には対策本部の方針が決められることになっていて、しかし間に5連休があった。それを何とか10月1日まで決定を延ばして、それでも実質5日か6日しかなかった。我々は元々は新型インフルエンザワクチン接種に関して異なる主張をしていた。しかし5日か6日しかない中で変更できるのは、この辺が精一杯だった。時を同じくして出産育児一時金の直接払い、これもストップをかけた。この2つの変更を実質5日か6日でやらなければ、前の政権で決めたことをそのまま追認するしかなかったのだ。
がんセンターにワクチンがまだ100人分しか来てないという件に関して言うと、10月6日にやっと輸入ワクチンの契約を済ませた。10月9日に国内分の出荷が始まった。まだ流通段階にあるものも多いだろう。どの医療機関に何人分というのは、当初各都道府県段階で発表するはずだったが、それも遅れている。海外に遅れているとの指摘に関してはオーストラリアだけが9月に接種を始めたけれど他の国はどこも10月後半以降だ。新しい病気に対してワクチン準備に数ヵ月かかるのは当たり前。日本だけが遅れているわけではない。
それから海外メーカーの要望の中に無過失補償があったということはない。彼らの要求は、賠償金を国が肩代わりしてくれというものだった。新型インフルエンザワクチン接種に関する立法措置
を来週行なうけれど、これが特別法の必要な一つの項目だ。それと新たに健康救済をインフルエンザA型H1N1だけに限定して設ける。であるならば今までの予防接種法の賠償額も額を崩していいはずだと考えているが、しかし冒頭の話に戻ってきて、補正をいくら削っていくかとか予備費をいくら使ってよいのかという話になると、財務省はインフルエンザ対策に1200億円は使ってよいと言っている。しかし残りの2000億円は今後何があるか分からないからダメだと言う。そんな訳で国の補償分を増やすというのはかなり厳しい話になる。そして実は、新法の中に、無過失補償と免責と予防接種法改正を検討するとの文言を加える、実施するまで入れられれば良かったが、検討するという項目を設けることが、この短い期間に私にできる全てだった」