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ニュース〜医療の今がわかる

「わが国の医療費の水準と診療報酬」 ─ 中医協・遠藤会長の講演 (1)

■ 社会保障費の配分という点からも、医療は割を食っている
 

 少し、中身について見てみます。2000年代に行われました診療報酬の改定率が非常に少なくなっています。診療報酬は、トータルで見ると、薬価の改定率と診療報酬が混ざっているわけですが、ここでは(薬価を除く)診療報酬の本体部分、いわゆる医療機関の収入になるものですが、(スライドは)対前年の伸び率で出しています。急速に下がっています。(中略。マイナス改定に伴い、医療機関の収入が減少していることなどを説明)

 中医協では、診療報酬の効果を検証する意味で「医療経済実態調査」を行っています。現在、2009年度の調査がまとまりつつあります。本来であれば10月の終わりぐらいに、11月の頭になってしまうと思いますが、公表することができると思いますが、これ(医療機関の収支)がどのように変化していくのか。
 前回の2008年度診療報酬改定では、急性期の病院については、比較的厚くしたという経緯があるものですから、それらがどのように反映されているか、私も大変興味のあるところですが、現状(の収支)はこのようになっている。

 医療費の過少について話してきましたが、医療費の過少をまた別の視点で少しお話をしたいと思います。医療費も、年金や介護福祉と並びまして、いわゆる社会保障の一環であるわけです。(スライドは)社会保障給付費の流れを見たものです。(中略。医療、年金、福祉の中で、医療費の伸びが一番弱いことを指摘)

 本来、介護保険ができた時に、社会的入院は介護保険のほうでかなり吸収されて、医療費の抑制になるということも言われたわけですが、本当に、この医療費の伸び率の鈍化がですね......。
 医療費の伸び率が鈍化したのは、社会的入院が介護保険に移ったからだという考え方もあると思いますが、そこは十分検証しないと言い切ることはできない。私は直感的に、そんなことはないと思っています。社会的入院の患者さんがまだ相当、療養病床の中におられるんだろうなあと思っています。

 いずれにしましても、このように「社会保障費の配分」という点から見ても、医療については、過去25年間、多少割を食っているところがあるんだろうということをお見せしたわけです。
 

【目次】
 P2 → 国民所得と医療費の伸び率をリンケージさせる政策は限界
 P3 → 明確な医療ビジョンが特になかった
 P4 → 社会保障費の配分という点からも、医療は割を食っている
 P5 → 医療費の負担について明確な議論が十分されてこなかった

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