「日本におけるワクチン・ギャップ」
私たちは早く承認してくれ、早く発売してくれ、早く定期化してくれと言いつづけてきたわけだが、その活動の過程でいくつか課題が見えてきた。
ワクチンラグができるのは、ワクチンによる疾病予防を国家的施策として位置づけていないから。そして、合意形成・政策決定のシステムがない、ワクチン輸入の環境が整備されていない、ワクチン・予防接種に関する情報が十分に開示されていない。
国家的施策に位置づけられていないのは、ワクチンが一体何を守るのかが理解されていないからでもある。
まずは「国民」個人個人を守る。それぞれ罹患しないとか、後遺症を負わないとか、死亡しないとか。と同時に「社会」全体を守るものでもある。一時に大量の患者が発生して医療システムに負荷をかけないよう。新型インフルエンザの場合は、この側面が強いだろう。それから医療経済に負担をかけないこと。
三重大の神谷先生たちが費用対効果をこのように計算してくれている。さすがに接種率100%というのはないと思うが、しかしワクチンを使えば、この程度の金額が助かるかもしれないんだということ、民主党の先生方には御理解いただければと思う。
いつ、どこで、誰が、何を決めるのか。誰というのは、最終的には大臣なんだろう。そして今回はその判断材料となる情報について、比較的オープンに専門家による意見交換会が開かれた。しかし、そこで話し合われたことが必ずしも政策に反映されるわけではないし、出てきた意見の中に首をかしげざるを得ないようなものもあった。