新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング
尾身
「結論は何らかの免疫の記憶があっただろう、と。詳しくは系統図で説明するが、結論としては処女感染ではなく何らかの記憶があったために十分に免疫が上がるのだろうと」
足立
「それは結果を考察する前提。結論は」
尾身
「60歳以上の人は免疫に記憶があるだけでなくプロテクションもされているだろう。それより若い人はプロテクションされないけれど記憶がある。実際に感染した人の抗体価の上がり方も新しい感染では考えられないほど早い。そういう状況証拠もあるので、そのように説明されたら国民に分かりやすいのでないか」
足立
「200人の中間報告から言えることは何か。簡潔に」
尾身
「明らかに免疫の上がり方が1回でも十分ある。妊婦の人も免疫は特に健常人と変わらないので恐らく1回でいいだろう。基礎疾患のある人は若干異なるが、しかし免疫学の常識で考えると、免疫の落ちるような疾患でなければ大丈夫だろう」
足立
「だからリザルトとディスカッションを一緒にしないでほしい」
堂々巡りする問答に田代氏が助け船を出す。
「あの試験は2つの違う条件で接種を行った。1つは15マイクロを皮下に、もう1つは30マイクロを筋肉注射。接種前に抗体を持っている人はほとんどいなかったが、両方とも接種から3週間後には国際的評価基準をクリアする抗体価の上昇が見られた。よって少なくとも健康な成人に関しては1回で十分でないかという結論になった」
足立
「1回目と2回目とを比較した結果ではない。が、ヨーロッパの基準をクリアするので、ほぼ1回で十分な効果が得られるのでないかという結論だが、このシンプルな結論に対して先生方のご意見は」
森澤
「今、お話しいただいたことは科学的には概ねその通りだと思う。しかし若干心配しているのは、この結果から全ての人が1回でOKだとのメッセージが出されたのでないかということだ。科学的な議論と国民へのメッセージを混同されると議論を組み立てにくい。今回の結果で医療従事者に関しては1回で済むのかなとは思うが、全員1回というのはどうなのかなと思う。
これまで制度設計上2回という話だった。先進国の中で圧倒的に国民の費用負担は高くて、しかも2回にすると安いですよというメッセージを出してきたのに、1回と2回がブレるのはマズいと思う。今まで私も今にして思えば申し上げ損なってきたなということがたくさんあるのだが、我々の誰もが今までに経験したことのないものなのだから、以前の決定が常に正しいという議論はしない方がよい。誤りは誤りとしてクリアに情報を国民に伝えるべきだろう」