新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング
しばらく顔色をなくして沈黙していた尾身氏が再び口を開いた。可哀想なくらい言い訳が続く。
「同じものをどういう見方をするかの違い。コミュニケーションをしっかりするということは大賛成。そのうえで今日は記者の方も大勢いるから申し上げると、たった200人の健康成人対象の研究から妊婦や基礎疾患ある人まで範囲を広げるのは論理的飛躍がある。それは百も承知だが、もうこれはタイムプレッシャー、政府が1回か2回かずっと決めないでいるわけにはいかないのだから、専門家として1回でよいだろうという判断を示したのだ。マスコミの方もいるから、よく聴いておいてほしいのだが、そういうことはマスコミには伝わっていない。
今のところは健康な人についてしか分からないのだから、小グループでも検査をやったらどうかと提案したい。妊婦や基礎疾患を持つ人の中から50人とか100人とか早めに接種して血液採取して。なるべく早く第二グループの一部の人にボランティアを募って、厚生労働省の方でやるということであれば、全部は無理にしても代表的なものだけでも。
今日は記者の人もいるから、金曜日の会議でも全部を1回打ちにするというような話はしていなくて、13歳以下(ママ)の人や基礎疾患の中でも特に免疫が落ちるだろうというHIVとかステロイドを飲んでいるとか明らかに2回やった方がよいだろうとは付け加えている」
足立
「概ね仰ることに賛成なのだが、一つだけ。政府が1回か2回か決めないといけないから意見を言ったとのことだが、私たちは2回が基本だとずっとメッセージを出していた。それを一部変更するかどうかだ。今月半ばまでは2回接種してくださいと言ってきた。変更することに伴う混乱も加味して検討しなければならない。
11月はじめからの群でパイロットスタディをして、有効性・安全性を確かめるという点についてはどうか」
福島
「妊婦については健康な人と変わらないだろうという議論だった。やろうと思えば2回目にギリギリ間に合うが基礎疾患は難しい。色々なグループがいて、それぞれ免疫応答悪いだろうという疾患について代表性のあるグループを選べるか。ただ全体のボリュームが大きいので全部打ち終わるまでに時間がかかる。やる時間はあるだろう。しかし普通の基礎疾患については健康な人と変わらないという議論が」
岩田
「それはどういう根拠か」
福島
「そういう議論だったということ」
岩田
「ワクチンの得られる効果は抗体の上がりかただけで測れるものでない。妊婦の免疫は健康人と変わらない、それはそうかもしれないが、一方で発症した場合には重症化してICUに入る率も死亡率も高い、まだ確かめられてはいないけれど、そうでないかと言われている。その場合、ワクチンを打つ意味は健康な人より高い。1回と2回で免疫原性に差がないというデータはない。もし1回と2回で5%の差があった場合、それはその5%の人が重症化のリスクにさらされるということで臨床的な意味は小さくない。この段階で妊婦も同じと決めてしまうのはプレマチュアだ。
他の各グループについても今の段階で明言することはできない。むしろオプションを示したらどうか。CDCは1回でよいと言っていてヨーロッパは2回だ、そういったことを国民に情報開示して。国民からすると1回に減らすことに損はない、2回打つのは当初の計画通り。妊婦さんが1回にするか2回にするかは多分に本人の価値観の問題だ。基礎疾患に関しても、その症例を何が1回で何が2回か定義しようとするのは根元的に無理で我々にできるのはオプションの提示だけではないか。それを踏まえた上で、臨床の現場で医師と被接種者が相談してコミュニケーションして決める。将来の医療の在り方をも提示することになるのでないか」