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若手研究者のやる気を失わせた 鈴木寛・文科副大臣


 鈴木副大臣は言う。
「今回、当事者である研究者の中から、表立って『おかしい』という声がほとんど出てこなかった。署名活動も起きなかった。陰では色々と聞こえてくるが、大事なのは勇気を持って表で発言すること。福島県立大野病院事件の時は、皆が勇気を持って署名をした。だから動いた。そのことが第一。

 それから支援するのにふさわしい最先端研究を選ぶ、という方法論が全く科学的に確立されていない。選択するということに関する科学、アカデミズムが余りにも貧弱で、人もルールも知恵もツールもスタンダードもない。だから10分間のヒアリングで決定するような信じられないことが起きた。米国には、選択する方法のスタンダードが確立されていて、社会に共有されている。それが全くないということに関して、自然科学、社会科学を問わず科学者と名のつく関係者は全員猛省する必要がある。私も社会科学者の端くれとして責任の一端を感じている」

 「そもそも」と鈴木副大臣は話を続けた。
「科学技術、中でも先端研究に予算を付けるのは最も難しい。なぜならば先端研究とは未知の領域を切り拓くことだから、誰も分からない分野に挑戦するものだ。誰も分からないのだから、その先に結果が出るかどうかも分からないし、その必要性に対する理解者も多くない。しかし、税金を使うには、一義的には過半数の納税者の同意を得なければならない。ここに先端研究に対して税金を使うことの絶対矛盾、自己撞着がある。この矛盾の解決は永遠につかない。

 しかし一方で予算をつけなければ、先端研究をライフワークとする人が減り、社会の発展も止まって多大な損害が出ると懸念される。どうやって、ここをクリアするのかが知恵の出し所だ。

 現在の日本で唯一、納税者と先端研究の間のギャップを埋める方法は、ノーベル賞受賞者を出すことだ。そのための体系だった方策を私としては考えているし、ノーベル賞に代わるような過半数が理解してくれる手法も考えていく必要があると思っている」

 鈴木副大臣の考えている手法とは何か。そう思っていたら話題が突然「全国に高校球児は何人いると思うか」に変わった。簡便に計算してみて約10万人になりそうだ。

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