「研究者がキャリアデザイン描けるよう、政策を再構築すべき」-鈴木寛・文科副大臣
文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、プロジェクト採択の正当性などをめぐり問題となった最先端研究開発支援プログラムを教訓に、国内で研究職を志す人がキャリアデザインを描けるような体制を再構築する必要があると主張した。(熊田梨恵)
「今までは科学研究開発のプロジェクトにどういうテーマを選んでいくかという、プロジェクトに対する支援はそれなりに議論されてきた」として、今後は研究開発に携わる人材の育成が政策の主要課題になるとした。「本来は研究職を志す人が釣鐘型に分布するのがいいが、今は(かぶせた)ワイングラスのような形になっている」と、研究者を志望しても将来が見えない現状があるとして、キャリアデザインを描ける仕組みの構築が必要とした。
経済的な理由から修士課程に進むことを断念している現状があるとして、「親の経済状況や年齢に関わらず、マスターやドクターに行けるようにしていかないといけない」と述べた。博士課程取得後の就職の問題については、「その人の一年間の人件費プラス、若干のものを一人一人の研究者に付けると。日本をはじめ、世界中の名だたる研究所にアプライする時に、人件費が付いていると受け入れてくれる」とした。その後、30代後半ぐらいで研究室を立ち上げるようになると資金が必要になるとして、「そのためのファンドレイジングの仕組みを考える。そうすると、世界を狙えるチームを率いるキャプテンになれる。毎年ノーベル賞候補者が待機している状態になり、そういう人材を輩出できていく」と述べた。
研究開発に関する政策の在り方について、次のように語った。「日本はその時々の力学や構造とかに、右往左往してしまっている。『これからはTR、iPS』とか、わーっと言われて対処療法するから、全体を鳥瞰したものにならない。30代前半はテーマからも研究所からも自由にしないといけない。そこで多様性を広げると芽が出る。今はテーマも研究所も固めてしまっているから、日本は一世代遅れになってしまう。ライフステージを意識した、人材をちゃんとそれぞれの世代で排出していくということが大事。30代後半で独立した研究室が持てるよう、30代前半で自分の才覚でテーマやパートナーを選び、その基本となる基盤を社会が支えてあげないといけない。そうすれば、そこにクリエイティビティが発生する」