審査員の夫 採択 最先端研究支援プログラム
総額2700億円を配分するとして前政権時代に配分対象者30人が公表されている「最先端研究開発支援プログラム」で、配分対象者の中に、審査員の夫が含まれていることが分かった。このプログラムについては、鈴木寛・文部科学副大臣が就任早々「選考過程が不透明」と見直す方針を明らかにしている。(川口恭)
このプログラムには565件の応募があり、最先端研究開発支援ワーキングチーム(座長、相澤益男・総合科学技術会議議員)の24人が書類審査で上位95件に絞ったうえで、研究の意義や見通しを1件平均30分で聴くヒアリングを実施した。最終的に選んだのは麻生太郎前首相が座長の「最先端研究開発支援会議」だが、実質的な審査はワーキングチームが行なっている。
このワーキングチーム24人の1人である川合眞紀・東京大学大学院教授の夫が、同じ分野の研究者である川合知二・大阪大学産業科学研究所教授で、知二氏が配分対象者に選ばれた。夫が応募しているにも関わらず審査員を辞退しない、または妻が審査員なのに応募するという夫妻のケジメのなさには呆れるほかないが、選定対象として知二氏が本当に適切だったのか疑問視する声もある。夫妻の研究分野であるナノサイエンスには、カーボンナノチューブの発見者としてノーベル化学賞候補に毎年名前の挙がる飯島澄男氏がおり、飯島氏も応募したのに落選しているからだ。