鈴木寛・文部科学副大臣は24日、事業仕分けで科学技術研究予算の縮減や廃止が相次いだことに関して、「事業仕分けを国民の75%が支持している。科学コミュニティーの自律が足りず、一般納税者の支持を得る努力、若手研究者の声を聴く努力をサボってきたことのツケが現れた。きちんと現実を受け止め、自分たちのあり方も見直していかなければならない。政治家も反省する」と述べた。
事業仕分けに対しては、文部科学省がパブリックコメントを実施し、既に1万件を超えたという。また10大学の理学部長らが緊急声明を出している。
鈴木氏は「寄せられたメールの数々を見て、改めて若手研究者がいかに大変な思いをしているか認識し、何とか予算を確保しなければと決意を新たにした。当事者の生の声が直接政治家に届けられたという点で、福島県立大野病院事件を思い起こす。医療界に遅れること4年で、科学技術研究者たちにも自律の動きが出てきたかと感慨深い」と、ここ最近のアカデミアの動きを評価した。
一方で、「事業仕分けのワーキンググループをマスコミは素人と評しているけれど、実際には"知"の専門家たちだった」と、文部科学予算の予算を仕分けしたWGメンバーは当初19人のうち9人が大学などの研究者、5人がシンクタンクの研究者だったことを指摘した。
「科学技術予算の重要性が学者仲間にも理解されていないということであり、また一方で仕分け人である学者の方々に対しても、若手研究者の実態をどこまで知っていたのかと疑問に思わざるを得ない。もっとアカデミアの中で分野や世代を超えたコミュニケーションが必要なのでないか」
また新聞などの世論調査で事業仕分けに対する支持率が大変高いことにも触れ、「当事者が何も声を挙げなかったら、政治家も抵抗する理由を見つけられない」と、仕分け結果に文句がある場合は直接国会議員にメールするよう呼びかけた。