12月2日の中医協 (ブリーフィング)
■ 基本問題小委員会⑤ ─ 入院料(病棟における看護師等の配置2)
[保険局医療課・佐々木健課長補佐]
(論点)2は、「多様な勤務形態を推進するための短時間(夜間)勤務」です。これはなかなか、(委員らの)イメージの共有がうまくいってなかったのかなと思って聴いていました。
○ 論点(参考)資料は74~77辺りですか、夜勤のところです。75ページを見ていただくと、(月平均夜勤時間数の)計算方式があります。この「月平均夜勤時間数」を計算する場合、分母は「夜勤時間帯の従事者数」、分子が「当該病棟の看護職員の月延夜勤時間数」という計算式です。
1 一つの入院基本料に対し、一つの届出区分としているが、これについてどう考えるか。
(1) 届出上一つの区分であっても、傾斜配置ができるという運用についてどう考えるか。
(2) 病棟単位の届出についてどう考えるか。
病棟単位にするメリット
病棟単位にするデメリット
・ 傾斜配置の弾力性が失われる。
・ 届出が複雑になる。2 多様な勤務形態を推進するための、短時間夜間勤務等の夜勤専従者の取り扱いについてどう考えるか。
3 現行の届出上の緩和措置についてどう考えるか。
ただし、(従事者数と月延夜勤時間数)に米印が付いておりまして、平均夜勤時間の算出式の「従事者数」と「延夜勤時間数」には、「夜勤専従者」とか「夜勤16時間以下の看護職員は含まない」というルールにしています。これがために、「夜勤専従」という働き方もしくは、(16時間)より短時間勤務の職員の方を雇ってもこの数字上、カウントに入れられないので、(72)時間のルールを守ることが難しいとのご指摘もございます。今日(の議論)はちょっと、そこまで明確に問題の焦点がはっきりしていなかった。「72時間」というところだけに話がいってしまいました。
▼ 看護師の長時間勤務に歯止めをかけるかが議論の中心になった。「72時間規制」があるために7対1入院基本料を算定できない病院があることから、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は72時間規制の緩和を要望。これに対し、坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)は病院経営者と看護師の立場では「72時間規制」のとらえ方が違うことを指摘。看護師の長時間労働や過労死を防止するためにも72時間規制が必要であるとした。支払側の白川修二委員(健保連常務理事)も労基法の順守を強調、「何らかの制限は必要」と述べた。議論が平行線をたどったため、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が現場の看護師からヒアリングを実施することを提案したが、遠藤会長は「(審議)時間の問題がある」として回答を保留した。
実は、この計算式が1つの問題としてあります。病院団体の個別の要望書の中にこの問題が入っていますので、(委員から)言及はなかったのですが、そういうポイントがあったと思っています。
資料を見ていただくと、上記算出式に夜勤時間が少ない看護職員が多く入ることで、見かけ上は月平均夜勤時間72時間以下が容易に達成できようになるのですが、夜勤時間が長い職員が入っても計算式をクリアしてしまうという弊害がある。それを図示したものが(参考資料)76、77ページです。「Bパターン」はちょっと極端に書きすぎたかなと思いましたが......。
▼ 77ページの図は、夜勤16時間以下の看護職員は含めた場合のイメージを2つのパターンで示している。「Aパターン」は短時間夜勤が少数、「Bパターン」は多数。「Aパターン」の場合、短時間以外の看護職員で「72時間以上」がそれほど多くない。これに対し、「Bパターン」では72時間を超える看護職員が多くなる。つまり、夜勤16時間以下の看護職員が多くなればなるほど、他の看護職員の長時間労働を助長する危険性があることを指摘している。
要するに、短時間夜勤が入ってくると周りに過重労働と言いますか、夜勤時間が長くなる人が出てきても計算式上は(長時間労働が)見えてこないので、なかなかそういう負荷がかかる方を守るというか、過重労働にならないような対応策がないんじゃないかとの危惧があります。
それについては、1号(支払)側の委員からも「何らかの基準が必要ではないか」というご指摘がありました。1号(支払)側の白川委員からご指摘を頂いたのは、「事務局(保険局医療課)は何をしたいのか、よく分からない」ということですが、「多様な勤務形態を推進するため」と書きながら、この資料のつくりは(夜勤16時間以下の看護職員を含めることが)「良くないんじゃないか」としているので、「どうしたいんだ」ということを質問されていたと思います。
これはですね、事務局(保険局医療課)としてはニュートラルな立場で、「両方のニーズがあるんでしょう」ということ。これは坂本専門委員もおっしゃっていたと思いますが、従事員、つまり看護師さんサイドからのニーズという面と、医療(機関)の経営者と言いますか、マネージメントされている方のスタンスはやはり大分違うのではないかというご指摘があったと思います。
この論点については、もうちょっと分かりやすく論点を整理して引き続き議論していただく必要があるのかなと思いましたが、その中で関連として嘉山員から「現場の声を聴いてみたらどうか」というご提案があって、それについては、遠藤会長から「時間等の都合もあるので預からせてください」ということでした。
その後、まだ遠藤会長とお話しできていません。この前の外科や手術(のヒアリング)は(1号・2号とも)「やりましょう」ということで、そういう準備をすることになりますが、現場の看護師のご意見をお聴きすることになるかは中医協として合意できていないと理解しています。いずれにしても、もうちょっと論点を整理してご議論していただく必要があると思っています。
【目次】
P1 → 総会 ─ 薬価調査および特定保険医療材料価格調査
P2 → 基本問題小委員会① ─ 入院料(7対1入院基本料)
P3 → 基本問題小委員会② ─ 入院料(13対1・15対1入院基本料等)
P4 → 基本問題小委員会③ ─ 入院料(亜急性期の入院医療の評価)
P5 → 基本問題小委員会④ ─ 入院料(病棟における看護師等の配置1)
P6 → 基本問題小委員会⑤ ─ 入院料(病棟における看護師等の配置2)
P7 → 基本問題小委員会⑥ ─ 入院料(病棟における看護師等の配置3)
P8 → 薬価専門部会 ─ 薬価制度改革に向けた論点整理
P9 → 薬価専門部会 ─ 質疑応答(薬価維持特例)