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厚労省のなし崩し公募案 認められず NC理事長

 先月27日に設置された内閣府の『独立行政法人ガバナンス検討チーム』第2回会合が3日開かれた。国立高度専門医療センター(NC)6つの理事長について、週明け7日に公募を開始し年内に任命する案が厚生労働省から示されたが、それ以前に財務内容が不透明だとの意見が相次ぎ、結論は出なかった。(川口恭)

 今回の会合も非公開で、事後に事務局長の大島敦・内閣府副大臣から記者ブリーフィングが行われた。

 厚生労働省から示されたペーパーはこちら。NCの理事長や理事は全て公募とし、その選考にはお得意の「外部有識者による選考委員会を設置」してあたり、公募のスケジュールは週明け早々の7日から16日、選考は17日から25日で、年内に理事長予定者を指名する旨が記されている。あまりに時間がなく、事実上は現在の総長らがそのまま移行する以外ない案になっている。

 一方、委員からは、理事長の人選以前の問題として「まずは財務内容を正確に把握することが必要で、その上でガバナンスをどのように発揮していくのかだ」(大島副大臣の説明)との意見が多かったという。

 吉川廣和・DOWAホールディングス会長は提出した資料で、「仮に国立がんセンターの予定財務諸表を見てみると、企業としてがんセンターは、既に破綻している。」「本センターは破綻企業として捉え、その前提で再建策を考えるべきである」「来年度予算には間に合わない」などと主張。

 また、境田正樹弁護士、志賀櫻弁護士、大久保和孝公認会計士、伊東賢治公認会計士の4委員は連名で、「理事長に業務運営の全権限が集中しておりチェック機能が働いていない」「第1回会議にて厚生労働省より予定財務情報が提示されたが、その正確性および妥当性について詳細に検証するために必要な材料が提供されていない」「財務内容の精査を行っていない現時点では、理事長、理事、および監事の人選に入る段階に至っていない」と主張した。

 大島副大臣は「特に結論が出なかった」と述べ、この検討チームから茶々を入れられないうちに理事長任命を強行してしまおうとした厚生労働省の案が認められなかったことを示した。

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